動揺しながら「次の質問、どうぞ」を繰り返す
「朱に交われば赤くなる」とは、このことか。国会や記者会見でそっけない受け答えが目立つ安倍晋三首相の姿勢が、他の閣僚たちに伝播している。中でも河野太郎外相は12月11日の記者会見で日ロ交渉についての記者の質問を繰り返し無視する行動に出た。
河野氏は、原発推進路線に批判的な立場で知られ、「安倍1強」の中では自説を曲げずに、説明責任をはたすタイプとみられていただけに、驚きと失望の声が上がる。
少し長くなるが、記者会見の問題部分を再現してみたい。
記者「日ロ関係についてうかがいます。先日、ラブロフ・ロシア外相が、日ロ平和条約の締結について『第2次世界大戦の結果を認めることを意味すると、日本が認めることが最初の一歩である』というような発言をしていますが、この発言に対する大臣の受けとめをお願いします」
河野氏「次の質問、どうぞ」
記者「ラブロフ外相、ペスコフ報道官等々、いろいろな原則的立場の表明があります。それに対して、反論を公の場でするおつもりもないということでよろしいんでしょうか」
河野氏「次の質問、どうぞ」
記者「ロシア側からはどんどん、これまで通りの提案が出てきます。アンバランスな状況が実際の協議にも与えるという懸念もあると思うんですけど、その点に関してはどうお考えでしょうか」
河野氏「次の質問、どうぞ」
記者「なんで『次の質問、どうぞ』と言うんですか」
河野氏「次の質問、どうぞ」
ロシア関係の質問を受けている時の河野氏はメガネに手をやったりコップの水を飲んだり……と明らかに落ち着きがない様子だった。