大学生にボランティアへの賛否を聞いた
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下2020東京大会)のボランティアについて投げかけた私の質問に対し、ある学生はこのように答えた。11月21日、募集開始から2カ月足らずで、組織委員会は大会ボランティアの応募者が目標の8万人を突破したと発表した。
募集に先立ち文部科学省とスポーツ庁は、全国の大学などに開催期間にあたる2020年7~8月の授業や試験の日程を柔軟に調整するようにとの通知を行った。それに呼応して明治大学や国士舘大学などすでに授業日程の変更を発表した大学もある。1日8時間を10日間以上という条件でのボランティアの担い手として、大学生たちはオリンピックのオール・ジャパン体制にとって貴重な人材なのだ。だが当の大学生の気持ちはいささか複雑なようである。
ボランティアをめぐる学生たちの声を知るために、筆者の勤務する国際基督教大学(ICU)と、非常勤を務めている大学で調査を行ってみた。ICUでは2人の肯定派の学生および3人の否定派の学生とともにディスカッションを行った。また非常勤を務める大学では大人数のクラスで自由記述のアンケート調査を行った。その結果分かったのは、ボランティアについて否定的な学生が多数派であるということ、またオリンピックというイベントに関わることをめぐって学生たちの中には大きな認識の違いがあるということだった。
なぜ無償で働かなければならないのか
まずは、多数派であるボランティアに否定的な学生たちの意見を考察してみたい。非常勤を務める大学でのアンケートでは有効回答240名中135名(約56%)が否定的な意見だった。特徴的なのは、多くが2020年大会ボランティアの条件面を批判していることだ。
1日8時間を10日以上、炎天下での作業、交通費・宿泊費が支給されないこと、さらに外国語などの能力が要求されること。そうした条件に対しては多くの学生が不満を表明していた。また、オリンピックが商業イベントであるという認識も強く持っており、なぜ企業が利潤を上げるにもかかわらずほぼ無償で働かなければならないのか、という批判が多く見られた。
私はオリンピックのボランティアはブラック労働であり、やりがい搾取であると考える。なぜなら東京オリンピックは非常に大きな商業イベントであり、スポンサーの収入が多いはずであるのにもかかわらず、この大きなイベントを支える人々は無償で働くということが問題であると思うからだ。
本間龍さんの『ブラック・ボランティア』を読んで、上の奴らのために何で自分が暑い中8時間もアリみたいに働かなきゃいけないんだと思いました。
災害救援や地域活性化のボランティアは無償でやっても良いと思えますが(実際にNPO法人のボランティア団体に所属しています)、オリンピックのボランティアには給料が発生してもおかしくないレベルの労働だと感じます。