日本企業の「一人当たり生産性」は米国平均より3割以上低い。このため給与水準も低迷している。原因はどこにあるのか。経営コンサルタントの入江仁之氏は「組織の風土や従業員の意識の低さが原因。つまり仕事に夢と誇りを持っていない」と指摘する。改善する方法はあるのか――。
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日本企業は生産性も給与水準もエンゲージメントも低い

私は世界最大のネットワークシステム会社、シスコ米国シリコンバレー本社の戦略担当部門マネージングディレクターとしてグローバルで活動してきました。また外資系戦略コンサルティングファームの日本・アジア代表などを歴任してきました。主なクライアントは、トヨタ自動車、日立製作所、GE、NTTをはじめIT、ハイテク、消費財などの日米の各業界を代表する企業です。

多くの日本の企業は、「給与水準」が大きく低迷し、海外の先進企業の後塵を拝しています。「一人当たり生産性」は、OECD統計で、日本が米国より32%も低いのです。これでは給与水準は上がりません。

なぜ日本は生産性が低いのでしょうか。その原因が、組織の風土、従業員の意識の低さと考えられます。ここでの意識とは「エンゲージメント」とも言われています。一人ひとりが仕事に自ら考え決めた夢と誇りを持ち、夢の実現に夢中になって諦めずに結果を出していく気持ちです。

従業員意識調査をすると、日本企業のエンゲージメントの度合いは、海外企業より大きく劣っており、大半の日本企業がグローバル平均の半分に低迷していることが明らかになっています。このため、仕事のスピードが遅くなり、環境の変化や想定外の事態への対応が後手後手に回ってしまっています。

生産性と給与水準の低迷、そして従業員の意識の低さが、失われた20年で顕在化した日本企業の“失敗”です。

日本企業“失敗”の3大症状

これまで私は日本の経営を、特に失敗を重ねている日本の企業の荒廃した現場を、何百と観察してきました。そこから日本の企業の失敗の本質が見えてきました。

日本企業の“失敗”の3大症状をまとめてみます。