そして「夢のビジョン」の実現に向けて仕事をすることで、顧客が価値を感じてくれることに集中することになります。社内向けに完璧な仕事をすることよりも、顧客の立場に立った仕事を重視するようになります(症状2の解決策)。

また、「1on1ミーティング」を持ち、上司は部下の話を聞くことで「夢のビジョン」の実現を支援します。人事評価はエンゲージメントの度合いで評価し、利己主義に陥りやすい「能力やスキル」は評価対象としません。すると、従業員は会社の「夢のビジョン」にひも付けて自ら考え行動するようになります。従業員同士が、「夢のビジョン」の実現に向けて協調しはじめます。そして夢に向かって諦めずに結果を出す組織になるのです。(症状3の解決策)。

このように組織文化を作り直すことが、日本企業の“失敗”を解決し持続的な成長をもたらす近道なのです。

次世代型の自律分散組織をつくる「OODAループ」

このように「夢のビジョン」を共有し個々人はその実現のために何をすべきなのかを主体的に考え行動する組織が、次世代の「自律分散組織」です。失敗を回避し、環境の変化や想定外の事態へ臨機応変に対応し勝ち残ることができるのです。

昨今、「ネットワーク組織」や「ホラクラシー」、「ティール組織」などさまざまな組織形態が提言されています。これらも自律分散組織です。“すぐ決まる組織”でもあります。

「夢のビジョン」の設定と実現を組織行動に落とし込んだものが「OODA(ウーダ)ループ」です。OODAループとは、アメリカ空軍大佐のジョン・ボイド氏が開発した戦略理論です。朝鮮戦争(1950‐1953)の空中戦でボイド大佐率いる味方1機が敵機10機を撃墜したとされる戦果の研究が原点となっており、シリコンバレーでも一般的に使われています。

OODAループは、

みる(見る、観る、視る、診る):Observe
わかる(分かる、判る、解る):Orient
きめる(決める、極める):Decide
うごく(動く):Act
みなおす(見直す)/みこす(見越す):Loop

の5つの思考プロセスからなります。

「夢のビジョン」を決め、その実現のために常に中身を更新していく戦略の理論です。現実の世界を観察して(「みる」)、「夢のビジョン」を決め、それにヒモづけた自分の世界観を持ち、その世界観を状況や相手に合わせて更新しながら、軍事でいえば「敵の戦闘意志」、ビジネスでいえば「相手(顧客やライバル企業)の思い」を探り(「わかる」)、相手の心をどのような状態にするかを決めて(「きめる」)、行動する(「うごく」)ことです。