猪突猛進型は厳しい。目標を疑えるくらいがいい

――大きな戦略転換の中で、どんな人材が核になっていくとお考えですか。

たとえていえば、織田信長のような人物でしょうか。彼は乱世に生まれていなければ、ただの「うつけ」で一生を終えていたかもしれません。突発的で劇的な変化が多発する乱世に生き残るためには、外部環境の変化にいかに適応できるかが鍵となってくるでしょう。いわば「突然変異の種」をどれだけ持っているかが、企業の新たな発展の大きな力になると思います。

平時は「けったいな人」と思われるような、例えばあまり反省しない人、バランス感覚がない人、常識が通用しない人。そしてかつ何かぶれない軸を持っている人でしょうか。思うように結果が出なくとも、自分の持っている信念や信義だけは貫き通せる人は強いと思います。

先見的な感受性も大切です。日々激変する情報をいかにつかみとるかが鍵となってくると思うのですが、独特の個性と独自の人脈でいち早く有用な情報をつかみ、そこから仮説をたて、それを基に素早く行動できる人は強いでしょう。

かつて欧州で現地企業のM&Aを行ったときも、そういった人材が戦力となりました。その情報と発想のおかげでタイムリーに手を打ち、買収を成功裏に終えることができたのです。

――そういった人材を、社内ではどう発掘・活用されていますか。

乱世に強い人材とは、上手に修羅場を経験させてやると、恐ろしいほどの力を発揮します。過去の評価に関係なく、いかにそんな人材に目をつけられるか。平時のポジションではただの「うつけ」でも、状況が変わればとんでもないことをやりそうだという人材を常日頃からチェックしておき、ここぞというときに適材適所の修羅場に放り込むのです。

ただ、これは経営陣がともに現場に入り込んで、強力にサポートしてやるくらいの体制を整えないと意味がありません。バランスがいいとはいえない人材が、独自の個性でつかんだ情報なりアイデアなりを、上手に現場にフィードバックする役割が必要なのです。そうでないと、ただの奇人変人で終わってしまい、結果、その人を潰すことにもなりかねません。

今、当社も第一線にトップが入り込んで、大胆な人材配置を急ピッチで行っています。多少の反発も覚悟していますが、そこをうまくマネジメントしていくのが経営陣の使命だと思っています。こんなときは、下の意見を聞いて合議するより、トップダウンで組織をつなぐくらいのリーダーシップが必要なのです。