――逆に乱世に向かない人材とは。
目先の目標に向かって猪突猛進のタイプは厳しいと思います。走りながらも目標を確認し、必要なら軌道修正できるしなやかさがない人は難しい。当たり前と思っていた社会や業界、専門やマーケティングといったものをまず一度否定してみる。自分で否定と肯定の振り子を振りながら正しい方向を見つけるべきです。
――正社員の雇用は守るということですが、実際、人材過剰となった場合、どのように対応していらっしゃいますか。
オイルショックが起こったとき、余剰人員を削減する代わりに、販売会社をつくってそこに出向させました。それが現在の強い国内販売網の基盤になったのです。今回も、3月までに1000人規模の人材の再配置を検討します。景気が回復したときの大きな礎となるはずです。
厳しい時代こそ、企業の体質改革や人材育成の大いなるチャンスです。「人を基軸に」の信念を貫き、帰属意識やチームワークを高め、吹きすさぶ風の中しなやかに前進していけたらと思います。
(木下明子=構成 的野弘路=撮影)