英フィナンシャル・タイムズの記事はゴミ同然
わが家は親の代から日経新聞の愛読者家庭だが、同紙の購入をもはや止めようかと考えるようになってきている。なぜなら、日経新聞が買収した英フィナンシャル・タイムズ(FT)の米国政治に関する記事があまりに劣悪なレベルだからだ。その多くの記事がトランプ大統領を意味ありげな修辞を重ねながら無意味にこきおろしたり、いたずらにポピュリズム批判の立場から不安を煽り立てたり、とても経済新聞としてのクオリティーを保った内容になっているとは思えないものが多い。リベラルな世界観から物事を語るだけで何も世界のことを知らない読者をマウンティング(自分の優位性を相手に示す行為)しようとする性質(たち)の悪い似非左翼識者のような記事ばかりだ。
米国政治を研究している筆者の場合、ウォール・ストリート・ジャーナルは当然として、米国の政治専門サイトであるポリティコ、米国保守派のニュースサイト、メールマガジンなども定期的に読んでおり、その情報の質の観点から、日経のFTの記事は情報源レベルで考えるとゴミみたいなものだと思っている。筆者が生業としている国の政治情勢・世界情勢の分析材料としてFTの水準の内容では使い物にならない。むしろ、日経新聞の記者独自による国際情勢の取材記事のほうが読み応えのあるものがあり、欧米の情報だからといって何でも海外コラムニストに書かせればいいものではないことがわかる。
たとえば、FTから引用された2018年8月9日「虚偽の政治 現実が崩す――国民の実感と乖離、反発招く」の記事など、他メディアからの引用などでファクトを示しつつ、社民主義的なリベラル派の立場からトランプが嫌いであるし、その政治はいずれ終わるべきだ、という願望が書いてあるにすぎないものだった。その内容はトランプ政権をナチスとソビエト共産党の体質とほぼ同一視しており、同政権はメディアによるリアリティーチェックで現実に足をすくわれるだろう、というものだ。
たしかに、トランプの発言が不正確であることは多いが、主に暴力や不当逮捕で敵対勢力を潰して政権を奪ったナチスやソビエト共産党と曲がりなりにも民主的な選挙で選ばれたトランプ政権を同列に論じることに「リアリティーがあるのか」と突っ込みたくなる。