日経新聞は「経済重視」でFTを1600億で買収したはず

また、現代社会の人にとっては、ある事象に対して「政権はポジショントークで話す」ことも「メディアが話の一部を切り取る」ことも常識として理解しており、どっちもどっちの是々非々で発信されている情報と捉えるべきというリテラシーを持っている。したがって、多くの読者はメディアも党派的なものとして、真実の一側面を表しているにすぎないことくらい当たり前に了解済みのことだ。筆者の場合は欧米ジャーナリストの白々しいリベラリズムを垂れ流している記事を読むとかえって気持ちが引く。

一昔前であれば、舶来信仰でFTのような欧州のリベラル識者の言論が無条件に日本国内で通じたのだろうけれども、ネットで世界中の情報が仕入れられる環境になった中で、外国人にそれっぽい文章を書かせるだけではもはや価値ある売り物にはならない。

しかし、筆者の勝手な思いでは日経新聞はイデオロギー的な読み物というよりは、それなりの調査を基にした記事を売ってきたように思うため、FTのようなリベラル派の政治活動家の一方的な主張が記事として掲載されることは残念でならない。

もちろん、日経新聞がFTを1600億円で買収した主な理由は、政治記事ではなく経済記事の価値を重視してのことだと理解しているが、それならば情報源として価値が薄いオピニオンである米国政治に関する記事引用はほどほどにしてもらいたい。むしろ、同紙がFTが配信するような偏ったものの見方に対して一線を画した論調を海外に積極的に発信していくようになれば、日本人としても誇らしく思う次第だ。いずれにせよ、今回の辛口記事は長年の読者からのエールのようなものだと受け止めてもらって、今後の論調を少しでも改善してほしい。

(撮影=鈴木聖也)
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