定年後の60~74歳までの15年間は、元気で好きなことができる「人生の黄金期間」。このとき充実した第2の人生を送るには、50代から準備しておくことが重要だ。8人の実体験をお伝えしよう。4人目は「売り上げ目標は5年後に30億円」という54歳のケースについて――。

※本稿は、雑誌「プレジデント」(2017年11月13日号)の特集「金持ち老後、ビンボー老後」の記事を再編集したものです。

長野純一さん 54歳 J‐ライフホーム社長
開業:2017年 形態:株式会社 資本金:300万円 従業員:1人 売り上げ目標:5年後に30億円

社員は自分のみ、5年後売り上げ30億円目標

2017年2月まで東証1部上場の住宅メーカーのヤマダ・エスバイエルホーム社長を務めた長野純一さんは17年5月、「J‐ライフホーム」をたった1人で立ち上げた。人脈を生かした起業で、「5年後の売上高30億円」という目標の達成に自信を覗かせている。

営業に勤しむ長野さんがオフィスを構えるのは、東京駅から歩いて5分ほどのシェアオフィスの「ビジネスエアポート丸の内」。下手な見栄を張らずに、余計な固定費での出費を抑えることは、起業を成功に導く大きなポイントだ。

その気になる事業内容だが、50代以上のシニアを対象に、起業や移住などのライフプランニングを有料でサポート。そのなかで付随して発生する不動産売買の仲介など住まいに関するサービスを収益の柱にするそうだ。

「住宅メーカーの顧客の約7割は、宅地を持っていません。当社に『相続した実家の土地を処分したい』というお客さまがいれば、住宅メーカーとマッチングできるわけです」(長野さん)

シニアのセカンドライフを支援するのは、既存の不動産会社と差別化する狙いもあるが、長野さん自身の経験も投影されている。「私も50歳くらいから、この先の人生をどう生きようかと真剣に考えてきました。同じ世代の方々の悩みに対して、等身大の目線での解決方法を提供できます」という。

そして、住まいに関するサービスを収益化する原動力は何かというと、先に触れた住宅関連業界で30年以上にわたって築き上げてきた豊富な人脈なのだ。