定年後の60~74歳までの15年間は、元気で好きなことができる「人生の黄金期間」。このとき充実した第2の人生を送るには、50代から準備しておくことが重要だ。8人の実体験をお伝えしよう。3人目は「平均月収・額面約80万円」という61歳のケースについて――。

※本稿は、雑誌「プレジデント」(2017年11月13日号)の特集「金持ち老後、ビンボー老後」の記事を再編集したものです。

齋藤 智さん 61歳 マグネット24社長
開業:2011年 形態:株式会社 資本金:100万円 従業員:1人 収入:平均月収・額面約80万円

商品先物取引会社で30年間、敏腕営業マンとして働いた

人脈をうまく活用して50代で自営業を始め、成功している人も少なくない。複数の企業から営業を請け負って、単身で平均月収約80万円という、何とも羨ましい稼ぎのある齋藤智さんもその1人。

齋藤さんは2014年に、室内抗菌加工サービスを行う「ふぃーる」も設立。「子育ての合間でもできるので、ワーキングマザーの生活支援にもなります。自分のキャリアを生かして人を育てられることにやりがいを感じます」と話す。

齋藤さんは大学卒業後、就職活動で偶然訪問した商品先物取引会社に入社。敏腕営業マンとして約30年間、先物取引の厳しい世界を勝ち抜いてきた。

「私が若い頃、先物取引の営業マンは忌み嫌われていました。言葉巧みに投資を誘っておきながら、損をさせても素知らぬ顔をする輩が多かったからです。しかし、リスクをわかったうえでなら、先物取引は投資の有力な選択肢になる。そこで、リスクを楽しめるお客さまだけとお付き合いする、独自の営業スタイルを貫きました」

そう語る齋藤さんは顧客から厚く信頼され、企業経営者などの富裕層とも、マンツーマンで話ができるパイプを築いてきた。また、営業と先物取引の啓発活動を兼ねて、異業種交流会などにも積極的に参加。人脈は各界に広がり、フェイスブックでは現在、1000人以上の人とつながっている。