定年後の60~74歳までの15年間は、元気で好きなことができる「人生の黄金期間」。このとき充実した第2の人生を送るには、50代から準備しておくことが重要だ。8人の実体験をお伝えしよう。2人目は「収入は大企業の管理職時代と同水準」という67歳のケースについて――。
※本稿は、雑誌「プレジデント」(2017年11月13日号)の特集「金持ち老後、ビンボー老後」の記事を再編集したものです。
入社12年目、研究開発部門から人事部へ異動
澤木 明さん 67歳 さわき社会保険労務士事務所所長
開業:2002年 形態:個人事業主 開業資金:約50万円 職員:3人 収入:大企業の管理職時代と同水準
「1974年、群馬大学工学部を卒業して小西六(現・コニカミノルタ)に入社しました。しかし、もともと文系の人間で、配属された研究開発部門に馴染めず、期待どおりのパフォーマンスを上げることができませんでした。そして周囲からは“お荷物社員”と見られていました。そうしたなか、私は早い時期から独立を考えていたのです」
67歳のいま、講演で全国を飛び回る澤木さんは現役時代をこのように振り返る。そうした状況を見かねた上司が、入社12年目に「人事の仕事がある」と打診してきて、異動を応諾した。
「人事部内にライフプラン相談室があって、転職や再就職のためのセミナーを実施していました。講師は外部から招いていたのですが、謝礼も必要なことから『私がやります』と手を挙げ、講師を務めるようになったのです。これが意外なことに好評で『わかりやすい、面白い』との声が寄せられました」(澤木さん)
それを機に、社会保険の専門知識をきちんと身につけたいと考え始める。そうすれば独立への道も開けるからだ。そして社労士試験に挑戦して2年目の97年、47歳で合格する。