※本稿は、菅原洋平・菅原未涼『無理なく着実に才能を伸ばす! 脳に任せるかしこい子育て』(すばる舎)の一部を再編集したものです。
なぜわが子の行動にイライラするのか
職場で疲弊して帰ってくる親御さんにとって、家で帰りを待ってくれているわが子の存在は、毎日の生活の活力源になっていることでしょう。帰宅したとき、わが子が笑顔で「おかえり」と言ってくれれば、1日のストレスも吹っ飛びます。
しかし、子どもの行動は時に大人にとって不可解なもの。わが子が理解できない行動をとり、親の言うことにもなかなか従わないと、私たちはイライラしてむしろストレスをためてしまいます。つい感情に任せて子どもを怒鳴ってしまい、あとから後悔する、なんてことも……。
私たちは、病院や様々な企業でこうした子育てに関する相談を受けてきました。私たちの職業である作業療法士は、生理学をもとに脳の仕組みを活用することでこれらの問題に解決策を導き出します。忙しい生活の中で、「気持ちに余裕を持とう」などの精神論では、問題を解決するのは難しいです。
私たち自身も2人の子供をもつ親です。
そんな親のイライラや自己嫌悪を解消するには、子どもたちの脳が持つ、生理学的な仕組みを知ることが役立ちます。なぜなら、脳の仕組みを理解すれば、子どもたちの行動を引き起こしている“本当の原因”が理解できるので、もっとうまく、もっとラクに、子どもたちと接することができるからです。
「ダメ!」と言われてもやめないのはドーパミンのせい
例えば、「子どもの不可解な行動」のよくある例として、「やめなさい」と親が言えば言うほど、挑発するようにその行為を続ける、というものがあります。
ある企業の研修でお聞きした、次のような子どもの行動と親御さんの反応を例に挙げましょう。おもちゃを窓ガラスにたたきつけて遊び始めたわが子に、親が「そんなこと、したらダメ!」と声をかけたところ、子どもは確かにチラリとこちらを見たのに、そのまま同じ動作を続けたそうです。
当然、親御さんは激怒しますが、子どもはなかなかその行為をやめず、結局は親御さんが強引にその遊びをやめさせ、怒られた子どもは泣き出したとのこと。こんなシーンがよく繰り返されるそうで、相談者はそのことでイライラを募らせているようでした。