子どもが緊張して、集中しようとすると、脳内ではヒスタミンという神経伝達物質が分泌されます。このヒスタミンには、「脳を目覚めさせて集中させる」作用があるのですが、同時に「体にかゆみを生じさせる」作用もあります。

つまり、子どもが真剣に話を聞こうとすればするほど、ヒスタミンの作用で体がかゆくなりやすくなるので、それを紛らわそうとしてもじもじ動き、落ち着きなく見えるようになる、ということです。

ちなみに、子どもが睡眠不足の状態だと、緊張時にヒスタミンに過剰に反応しやすくなるため、もじもじと動いてしまいやすくなります。逆に言えば、質のよい睡眠をしっかりとるようにすれば、こうした子どもの“もじもじぐせ”は大抵解消できるということ。もしお子さんに“もじもじぐせ”が見られるのであれば、しっかりと睡眠をとれるよう意識して改善に取り組んでください。睡眠不足が解消されれば、ほとんどのケースで“もじもじぐせ”は改善されると思います。

親自身のイライラも「脳の仕組み」のせい

子どもたちの不可解な行動の背景にある、こうした脳の仕組みを知っていれば、私たち親は、もっと上手に子どもたちと接することができるようになるでしょう。わが子の行動が、親への挑発や、だらしなさ、落ち着きのなさといった性格的なものとは関係ないと納得できるので、「ああ、この行動は脳から来ているものだな」「じゃあ、脳の仕組みにしたがってこうしてみよう」と、より穏やかに落ち着いて対応できるようになります。

また、そもそも親が子どもの行動に過剰にイライラしてしまうのも、同じような脳内の仕組みから来ている現象です。

例えば、子どもが何か新しい“不可解な行動”をとると、その刺激で親の脳でもドーパミンが分泌されます。口では「やめなさい!」と言っても、ドーパミンの働きで子どもの行動に過剰に注意が向いていますから、脳内では「やるぞやるぞ……ほらやった!」と、子どもが同じ行動を繰り返すのを待ち構えてしまいます。

こうなると、子どもはやめず、親は怒鳴ることを繰り返し、表面的な対立がエスカレートしてしまいます。