元テレビ朝日アナウンサーだった丸川珠代参院議員。対談集では「自虐史観」の原因を教育に求め、ネットを通じて「本当の歴史」を知るようになったと語る。だが、近現代史の知識を持ちえなかったという「知的怠惰」の責任は、教育ではなく、個人にあるのではないか。過去6回の国政・地方選挙でも投票を怠っていた丸川氏の「資質」とは――。
※本稿は、古谷経衡『女政治家の通信簿』(小学館新書)の一部を再編集したものです。
初回で落選していた危険は十分にあった
丸川珠代 元環境大臣
1971年生まれ。兵庫県神戸市出身。夫は衆議院議員の大塚拓。東京大学経済学部卒業後、テレビ朝日入社。『ビートたけしのTVタックル』などに出演。2007年参院選にて当選(自民党・東京選挙区)。その際、過去6回の国政・地方選挙で投票を怠っていたことが判明。環境大臣、五輪担当大臣を歴任。
1971年生まれ。兵庫県神戸市出身。夫は衆議院議員の大塚拓。東京大学経済学部卒業後、テレビ朝日入社。『ビートたけしのTVタックル』などに出演。2007年参院選にて当選(自民党・東京選挙区)。その際、過去6回の国政・地方選挙で投票を怠っていたことが判明。環境大臣、五輪担当大臣を歴任。
丸川珠代は元テレビ朝日アナウンサーだった前職により、「タレント議員」と呼ばれる場合があるが、私は丸川珠代自体をタレント議員という風に思ったことはあまりない。というより、テレビの中でもそんなに有名人、有名アナウンサーというイメージがなかったからだ。
実際丸川は、2007年に参院東京選挙区(定数5)から初めて立候補して、4位の約69万票で当選するも、川田龍平(約68万票)と並んで当落線上ギリギリであった。改選にあたる2013年参院選では同区1位で100万票を超える強さを見せたが、参院全国比例から出馬するのが恒例の「タレント議員」にしては、全国区ではなく中選挙区から出発する地味な選挙歴を有する。いずれも自民党が圧勝した選挙年次であり、全国的情勢が違えば初回で落選していた危険は十分にあった。
そんな「地味」な丸川は、目立った単著が一冊もなく、政治家として何を考えているのかよくわからない。唯一、丸川の世界観がうかがえるのは、『渡部昇一、「女子会」に挑む!』(WAC)に収録されている渡部との対談部分である。
〈お恥ずかしい話ですが、私たちの世代が受けてきた歴史教育は、明治時代までがせいぜい。それ以降の戦争を学び、「自虐史観」を持つ以前の段階で終わってしまうようなもので、あまりに判断材料が足りませんでした。ようやくいま、インターネットなどで情報を共有し合う若い人たちの繋がりが出てきたことで、『本当の歴史』を知ることができるようになった〉(P.321)
自虐史観への反抗とその原因を教育に求める世界観。そしてインターネットを通じて「本当の歴史」(ネットDE真実)を知る、というのは彼女に限らず、女性保守政治家に見られる傾向だ。典型的でめずらしくもない「右っぽい」観念があると思うが、なぜこの手の人はすべての原因を教育に求めるのだろうか。