掲載時には、クライスラーの運命は決まっている。ゼネラル・モーターズ(GM)についても、おおよその方向性が見えているはずだろう。

米政府から追加資金援助を得て延命するのか、チャプターイレブン(米連邦破産法11条)申請で再建を図るのか、ブランドだけを残し会社消滅に向かうのか。“ビッグ3”と呼ばれた米国自動車3社の中で、何とか自立走行が可能なのはフォード・モーターだけのようだ。

フォードは、ジャガーとランド・ローバーをインドのタタ自動車に売却しているが、早い時期の決断が功を奏したとの見方で一致している。

2009年1月には韓国5位の自動車メーカー、双竜自動車(中国の上海汽車集団傘下)が経営破綻。GMが1990年に傘下に収めていたサーブ(スウェーデン)も、2月に破綻に追い込まれている。

GMに代わり、自動車製造・販売世界一の座を獲得したトヨタ自動車は、09年3月期に大幅な赤字に陥り、今期も赤字予想。トップの座獲得の代償としては、あまりにも痛い。

図を拡大
業界別再編戦国マップ

トヨタはこの7、8年、年間販売台数をおよそ400万台増やし、900万台に迫る勢いだったが、国内に限れば200万台での横ばい推移、海外での販売を拡大させてきた。

09年3月期に黒字を確保したホンダを含め、日産自動車、スズキ、マツダ、三菱自動車など、世界不況の直撃を免れた会社は皆無。トヨタは14年ぶりに創業家から社長を迎え入れ、ホンダは新経営体制に移行する。

必然的に、生き残りをかけた合従連衡に関心が向く。表を見て、真っ先に目がいくのはホンダだろう。

だが同社は、10年にも量産を開始する7~8人乗りのジェット機「ホンダジェット」ですら自前開発。70~90席クラスのリージョナルジェット機「MRJ」の開発に取り組む三菱重工が、トヨタや総合商社などからの資本参加を得て、オールジャパン体制を敷いているのとはあまりに対照的。

ハイブリッド車用電池の供給を受けていた三洋電機がパナソニック傘下に入る決定を見届けるや、ホンダはGSユアサコーポレーションとの提携にも動いた。ハイブリッド車用電池で、パナソニックはトヨタと合弁展開しており、トヨタ色を避けた、と見るのが自然。「孤高のホンダ」は揺らぎそうもない。