買収時期は当初予定より遅れているが、パナソニックは三洋電機を買収し、子会社化する。両社の本社は徒歩でも15分程度の距離にありながら、これまでは「近くて遠い隣人」などといわれていた。
経営不振が深刻化していた三洋電機は、子会社だった三洋電機クレジット(現GEフィナンシャルサービス)を手放し、携帯電話事業は437億円で京セラに売却。一方で三洋電機はリチウムイオン電池で世界首位、太陽電池も手がけ、ハイブリッド車など環境車用電池では独フォルクスワーゲンと提携関係にある。パナソニックは、その三洋電機の電池事業を取り込み、売上高でも日立製作所を抜き、電機業界トップに躍り出る見込み。
三洋電機と入れ替わるように、事実上、パナソニックグループから離れた日本ビクターは、ケンウッドと経営統合、JVC・ケンウッドHDとなった。
三洋電機や日本ビクターのように、会社丸ごとかどうかはともかく、電機業界のM&Aが活発化するのは避けられないところ。ソニーや富士通はすでに、海外勢との合弁事業打ち切り、完全子会社化に動いている。
赤字ではあっても大型の設備投資が不可欠な半導体事業では、いつ大型M&Aがあっても不思議ではない状況。国内半導体2位のルネサステクノロジと三位のNECエレクトロニクスが来年4月に経営統合すると発表があったばかり。
薄型テレビでは、「シャープ・ソニー・東芝」連合と「パナソニック・日立」連合に分かれた形で、最初にプラズマテレビを手がけたパイオニアはテレビ事業から撤退する。そのパイオニアには、シャープが資本参加しており、両社の今後の動向も注目の的になる。パイオニアにはホンダが出資する動きもある。
遅れていた「脱・総合電機」にようやく本格的に舵を切らざるをえないところまで追い込まれた日立製作所。同社は原子力発電や鉄道車両など社会インフラ事業に経営の軸足を移すとするが、上場子会社・関連会社を多数抱えており、グループ内再編による動きにも視線が集まるのは必至だ。
※すべて雑誌掲載時