働き方が多様化する今、会社員より自由なフリーランスへの転向を考える人は増えているようだ。しかし、税理士の廣岡実氏は「いっときの憧れだけでフリーランスになるのは危険。50代までは高収入でも、60代を過ぎて急に困窮する人が少なくない。老後も不自由なく暮らせるフリーランスは、大体5パターンに限られる」という――。
フリーランスの世界は甘くない
なかなか上がらない給与。煩わしい会社の人間関係。いっそのことフリーランスになってしまおうか、と考える人は少なくないでしょう。
また、若い人の中には「自分の才能を活かして、一生フリーランスとしてやっていこう」と思っている人もいるかもしれません。しかし、フリーランスの世界は思ったほど甘くはありません。
40~50代までは毎日忙しく仕事ができていたフリーランスも、歳を取ります。世間でもよく言われるように60歳を超えると急に体も気力も「ガックリ」来てしまう人が多いようです。
税の支払いに追われる現実
そこそこ大きな会社に勤めてきた人であれば、退職金が出ます。また、現役時代に給料から随分と差し引かれていた厚生年金で、十分ではないとはいえ、老後に毎月一定額をもらえるようになるのはとてもありがたいことです。
これがフリーランスの同世代の場合、とても心もとない状況となります。社員がいなくても法人組織にして社会保険に加入していたならまだしも、個人事業でやってきたフリーランスにとって、もらえる年金はとても期待できる金額ではありません。現役時代だって、一部の売れっ子のフリーランスを除いて裕福といえるほどの稼ぎは難しいのが現実です。
しかも若い世代のフリーランスは入ってくるお金をそのまま使ってしまう傾向にあり、確定申告ではっきりする所得税、住民税、消費税の支払いにも追われて、とても十分な蓄えを作ることはかないません。
歳は急にとるのです。私の顧問先や知り合いのフリーランスの「老後」についてお話ししておこうと思います。