親の介護が始まる前にどんな備えをすればいいのか。『マンガで解決 老人ホームは親不孝?』(主婦の友社)で、親の介護体験を漫画に描いたイラストレーターの上大岡トメさんは「『親は元気なはず』と思い込みがちだが、必ず衰えている。突然介護をすることにならないように、自身が50代のうちに確認してほしいことがある」という――。(第3回/全3回、構成=プレジデントオンライン編集部)
「急に認知症になった!」は子供の勘違い
親という存在は、子供にとっていつまでも変わらず元気なものだという思い込みがあります。この無意識のバイアスが、親の老いや衰えを無意識に視界から遠ざけてしまうのです。
私の父は技術職出身で、80代に入ってからもパソコンを使いこなし、ネットスーパーで自ら買い物をするほど自立していました。私自身もすでに56歳になっていましたが、その姿を見て、「父に限ってボケるはずがない」と根拠のない安心感を抱いていました。
しかし、その父に87歳ごろから、認知症の症状が現れたのです。父の不調に気づいたきっかけは、私が父の代わりにネットスーパーの注文を操作した際のことです。後日、父はひどく落ち込んだ様子で「店から電話があり、他人が注文するのは規約違反だと怒られた」と訴えてきました。そこで、不審に思って店側に確認してみると、そのような事実は一切ありませんでした。父の脳内で、現実には存在しない「拒絶の記憶」が作り出されていたのです。
一見、認知症は唐突にやってきたように見えます。しかし実際には、子供側が「親は元気なはずだ」という前提で現実を見ていたために、目の前の異変を見逃していただけなのかもしれません。

