業界トップの座が脅かされる野村証券

米シティグループが売却する日興シティHD傘下の証券2社、個人向けの日興コーディアル証券と法人向けの日興シティグループ証券の行方――。

プレジデント誌発売時にはおおよその決着を見ているだろうが、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が、日興コーディアル証券、日興シティグループ証券の大半の事業を買収することで基本合意した。買収額は5000億円超。三菱UFJFG、みずほFGの三大メガバンクの争いだったが、規模で劣る三井住友が買収に対する意欲が一番強かったのだろう。また、最も興味ある組み合わせであるのも事実。売却先決定後の動きを含めて展望してみる。

三井住友は、証券分野では中堅で個人向けのSMBCフレンド証券を持つのみ。代わりに、大和証券グループ本社と法人向けの証券会社(大和証券SMBC)やベンチャーキャピタル(大和SMBCキャピタル)を合弁で運営。そのため、日興を傘下に収めた場合、大和との関係をどう維持するかが微妙になる。

仮に大和と日興の合体、さらには、住友信託銀行、住友生命、三井生命、三井住友海上グループHDを含めて現在以上にタッグを組むことができれば、規模的に三菱UFJFGと双璧の金融グループ誕生となる。

提携関係を結んでいる三井住友銀行、三井住友海上火災、住友生命、三井生命の4社はすでに、三井住友アセットマネジメントの設立など、共同事業化を推進。三井住友海上グループは、あいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険との経営統合も予定。

三菱UFJは約9000億円出資している、米モルガン・スタンレーと、日本における証券会社の統合で合意。戦略的アライアンスの具体的な成果の第一弾となり、その統合だけで、証券業界2位の大和証券グループ本社に肉薄する。大手証券と比べ、見劣りする三菱UFJ証券の営業基盤を強化する狙いだ。三菱UFJは日興シティ信託銀行については、買収の方向だ(当面延期)。