世界の混乱は邦銀のチャンスか?

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業界別再編戦国マップ

「世界の混乱は、邦銀のチャンス」とばかりに、海外の大手金融機関への資本参加に動いたのが国内勢。前述したように、三菱UFJは、モルガン・スタンレーに約9000億円を出資。野村HDはリーマンのアジア・パシフィック地域部門などを手に入れ、人材を引き継いだ。

リーマン・ショック以前には、みずほFGがメリルリンチに約1300億円、三井住友FGは英バークレイズに約1000億円の出資を実施している。各グループとも世界での存在感を高めようと資本参加を決めた。みずほFGが出資したメリルリンチは、三菱UFJと富裕層を対象とした三菱UFJメリルリンチPB証券を合弁展開している関係でもある。

だが、09年3月期決算で、メガバンクや野村HDは巨額の最終赤字を計上。03年3月期に三大メガバンク合計で3兆円を超える最終赤字を出した悪夢の再現ともいうべき状況だ。

三大メガバンクが注入された公的資金の返済を終えたのは06年のこと。三菱UFJと三井住友FGが、系列リース会社の再編に着手したのは07年。系列リース会社は銀行本体の不良債権の受け皿になっていた側面もあり、その再編は、グループ機構改革の最終段階になるというのが大方の見方。系列リース会社の再編着手は、不良債権の処理に完全にメドをつけた証明でもあった。

それからわずか2、3年での大幅赤字転落である。そこで繰り出した対策が資本増強。三大メガバンクはこの1年の間に二度、三度と優先株や優先出資証券を発行して増資。野村HDも普通株の発行による資本増強に動いている。みずほFGが募集したドル建て優先出資証券など、なんと15%に迫る高利率だった。

融資を通して実体経済の血液循環を支えるべきところを、逆に民間から資金を吸い上げる。三大メガバンクは、日本経済の舵取り役として、その存在意義が問われているといっていいだろう。

海外展開や収益源の多様化にしても課題が山積。三菱UFJFGは、米国内で約340店舗を展開するユニオン・バンカルをおよそ3850億円かけて完全子会社化。みずほFGは、中国の中信銀行や米ブティック型投資銀行のエバコアに出資。三井住友FGは韓国の国民銀行の持ち株会社やベトナムのエクシムバンクに資本参加している。出資に見合う成果が求められることはいうまでもない。

アコムを子会社化した三菱UFJFG、系列カード会社を統合して新しくセディナを立ち上げている三井住友FGは、リテール分野でどんな戦略を描くのか。ATM中心のセブン銀行に稼ぎで負けているようでは、メガバンクとしてのプライドにもかかわるはずだ。

三菱UFJ系列の泉州銀行が池田銀行と09年10月に経営統合するなど、地方銀行はすでに本格的な再編に突入。公的資金の返済問題を抱えるりそなHD、中央三井トラストHD、新生銀行、あおぞら銀行などの今後の動向によっては、再々編の可能性もある。りそなHDは、仏クレディ・アグリコルや第一生命からの出資を受けている。新生銀行とあおぞら銀行の統合の動きも出てきた。

(ライヴ・アート=図版作成)