みずほFGは、日興シティHDの前身、日興コーディアルグループに出資していた関係。日興がシティグループの完全子会社になる際に持ち株を手放した。日興獲得に乗り出していたみずほだが、二度の延期を経てこの5月にようやく、みずほ証券と新光証券の合併を実現させるだけに、そこに新たな証券を抱えるのはどうかという問題があったのも事実。ちなみに、日興はシティグループやみずほと資本関係を結ぶ以前は、三菱と関係が深かった。

三井住友が日興シティHD傘下の証券会社を買収することになり、野村HDは、証券・投資銀行セクターを営々と築いてきた業界トップの座を脅かされるだけに、反転攻勢にどう出るか。

野村HDは、中国企業による英豪系資源大手リオ・ティントへの出資、キリンHDによるフィリピンのビールメーカー買収など、海外でのM&Aに絡む助言業務を獲得。米リーマン・ブラザーズのアジア・パシフィック地域部門などを買収した効果を発揮したいところだ。

そのリーマンが、過去最大規模の負債総額6130億ドル(約64兆円)で経営破綻したのは08年9月15日。この“リーマン・ショック”を境に、世界の金融、経済は一変、大不況に陥った。

メリルリンチがバンク・オブ・アメリカに買収され、保険世界大手のAIGが事実上政府の管理下に入り、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが銀行持ち株会社への移行を表明したことで、米国から巨大証券・投資銀行が消え去った。さらに米国金融の混乱が、欧州の金融機関、そして全世界の金融機関に波及。国有化や公的資金の注入が相次ぎ、未曾有の世界金融危機は実体経済にも及び、いまだに出口が見えないのが現状だ。