特に気にしてほしい5つの項目
年末にかけて、健康診断を受けていないことにハッと気づき、急いで健康診断を予約する方も多いのではないでしょうか。現代社会において、健康診断は私たちの健康を守るために大切なものです。特に生活習慣病やがんの早期発見と予防において、その重要性はますます高まっています。私自身も産業医として、多くの就労者の健康を見守る中で、健康診断の重要性を痛感しています。今回は、健康診断とその活用方法についてお話しします。
健康診断では、身体計測や血圧、また視力・聴力測定などの生理学的検査、血液・尿検査と胸部のレントゲン検査が一般的です。検査結果を見ると、異常値が示されていたり、A/B/C/Dの4段階で評価されていることがあるかと思います。検査結果のうち異常があった場合、特に気にしていただきたい項目は、①血圧、②BMI、③脂質(総コレステロール・中性脂肪・HDL-コレステロール・LDL-コレステロール)、④肝機能[AST(GOT)・ALT(GPT)・γGTP]、⑤糖代謝(HbA1c・空腹時血糖)の5つです。
40代以降の女性は脂質の変化に要注意
①血圧
高血圧は、心筋梗塞や脳卒中を招く動脈硬化や、腎臓病の発症に関わります。高血圧は自覚症状がないことも多いため、健康診断で血圧が高いと指摘されたら、まずは家庭での血圧測定と受診をおすすめします。
②BMI
BMIが高いと、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが高まるため、健康管理の指標として非常に重要です。
③脂質
脂質異常症は、それ自体に自覚症状がほとんどなく放置されがちですが、動脈硬化を進行させ、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞のリスクを高めます。
特に40代以降の女性は脂質の変化に注意が必要です。閉経後はエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が減少し、LDL(悪玉)コレステロールの抑制作用が弱まるため、数値が高くなりやすい傾向があります。
④肝機能
肝臓には痛みを感じる神経がないため、障害を受けても自覚症状が出にくく、症状が現れた時には病状が進行していることが多いです。原因としてはアルコールや薬物の過剰摂取、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎、脂肪肝などが挙げられます。特に「アルコール性肝障害」や「脂肪肝」といった生活習慣病に起因する肝臓病には注意が必要です。
⑤糖代謝
日本では4人に1人が糖尿病またはその予備軍と言われています。糖尿病自体は直接命に関わる病気ではありませんが、自覚症状がなく進行することが多く、合併症が大きな問題となります。