「胃内視鏡検査」の方が死亡リスクを減らす研究結果

がんの既往がなかった男女8万272人を、20年程度追跡し、胃内視鏡検査による胃がん検診と胃がん死亡・罹患との関連を調べた多目的コホート研究があります。追跡期間中(中央値;13.0年)に、1977例が胃がんと診断され、さらにそのうち783例が胃がんにより死亡しています。解析の結果、胃透視検査または胃内視鏡検査を受けた人では、未受診の人と比較して、胃がんによる死亡リスクがそれぞれ37%、61%減少していました。

また、胃透視検査を受けた人または胃内視鏡検査を受けた人では、未受診の人と比較して、進行胃がん罹患リスクがそれぞれ12%、22%減少していました。このように胃内視鏡検査は胃透視検査と比較して、胃がん死亡を抑制する効果が示唆されています[Nobuhiro Narii et.al “Effectiveness of endoscopic screening for gastric cancer: The Japan Public Health Center-based Prospective Study” Cancer Sci. 2022 Nov;113(11):3922-3931.]。検査のキャパシティの問題から選択できる機会はそう多くはないかもしれませんが、胃透視検査か胃内視鏡検査のどちらかを選択することができる場合には、胃内視鏡をおすすめしたいと思います。

医療従事者の手に内視鏡
写真=iStock.com/Andrey Shevchuk
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女性は乳がん・子宮頸がん、男性は前立腺がんの検査も

また、女性は乳がんや子宮頸がんに関する検査も定期的に行えると良いでしょう。乳がんの罹患率は20代後半から増え始め、40代後半に最初のピークを迎えます。乳がんは乳房検査(乳腺エコー、マンモグラフィ)にて確認する事ができます。また、子宮頸がんの罹患率は20代前半から増え始め30代後半から40代にピークを迎えますが、特に生理痛が重い方や不正出血等の症状がある方は経膣超音波検査追加を検討すると良いでしょう。

男性では前立腺がんは今や男性の部位別がんで最も多く、50歳ごろから急増します。特に早期発見の観点から、40歳以降の健康診断には前立腺腫瘍マーカー(PSA)の測定を追加することを推奨します。