三菱商事と伊藤忠商事の「可」に対して、丸紅の「不可」は明らか。それぞれがスーパーやコンビニに投資している成績表だ。丸紅は関連会社(持ち分法適用会社)にしたダイエーの経営不振が響き、自社の最終利益が押し下げられるという事態を招いている。
取扱品の拡大や収益の多様化を睨み、流通各社への出資を進めてきた総合商社。今や総合商社の思惑や動向を抜きに、流通業界の今後は見通せない。三菱商事はローソン、伊藤忠商事はファミリーマートの事実上の親会社。丸紅はダイエーのほかにマルエツ、東武ストアも出資先である。
総合商社が流通各社に出資してきた金額も半端ではない。丸紅がダイエー株を産業再生機構から買い取った金額は約880億円(売却分含む)。三井物産のセブン&アイHD株の持ち株比率は2%に満たないが、それでも取得には500億円程度を要している。
イオンと三菱商事は、ショッピングセンター開発のダイヤモンドシティ(現イオンモール)を合弁展開していた関係でもあり、三菱商事のイオンへの出資実行が、新たな動きを誘発するきっかけになる可能性も否定できない。
三菱商事傘下のローソンは、「SHOP99」の99プラスを子会社化、「ローソンストア100」も展開する。当初のスケジュールからは遅れているが、am/pmジャパンも買収する方向だ。そこにイオン傘下のコンビニ、ミニストップが加わったとしても不自然ではない。
イオンはファミリーマートとの提携にも動いており、ローソン、ファミリーマート、ミニストップ、am/pmが大同団結、コンビニの王者、セブン-イレブン・ジャパン包囲網を形成する、といったこともまったく絵空事ではない。
百貨店の不振に目を奪われがちだがスーパー、とくに総合スーパー(GMS)の不振も深刻。セブン&アイHDのスーパー事業を担うイトーヨーカ堂は2009年2月期、赤字に転落。黒字決算だった同じグループ内の食品スーパー、ヨークベニマルの後塵を拝するようになっている。GMSが主体のイオンは、グループ全体で赤字だった。