自民・公明の与党が3分の2の議席を維持し、選挙前には30%台にまで低下した内閣支持率も50%弱まで回復。安倍1強体制の動揺が収まりつつあるなか、三井住友アセットマネジメントの渡邊誠シニアエコノミスト は、来年の自民党総裁選で安倍首相が再任されるのはほぼ確実とみる。安倍「安定」政権の継続は、日本経済にとって引き続き追い風となるのか――。

選挙後、内閣支持率は回復

筆者は日本経済のマクロ予測を専門とするエコノミストだ。10月に行われた衆議院選挙の結果は、来年の日本経済を占う上で、もっとも大きな材料の一つとなった。こと、「景気」に関して言えば、安倍「安定」政権が続くことは、日本の景気拡大が続く前提となるからだ。
 総選挙の結果、自民・公明の与党が選挙前とほぼ同じ3分の2の議席を維持する大勝となった。各種世論調査では、7月には30%台半ばまで低下した内閣支持率も、選挙後の11月調査では50%弱まで回復した(図表1)。直近の景気ウォッチャー調査でも、景気の最前線で働く人々の景況感が堅調に改善した理由として、「政治の安定」を挙げる声が少なくなかった。安倍1強体制の動揺は、収まりつつあると言えるだろう。

高まった安倍3選の可能性

来年9月に、安倍首相は自民党総裁としての任期を迎え、自民党総裁選挙(=事実上、次期首相の選出)が行われる。今回の総選挙の大勝により、安倍総裁が続投を望むなら、3選の可能性はかなり高まったと言えるだろう。安倍総裁の下、自民党は衆議院選挙3勝+参議院選挙2勝=国政選挙5連勝で、選挙に強い総裁の看板を掛け替える理由はない。