2017年度は18.4兆円のPB赤字が見込まれており、世耕大臣の発言(GDP比0.5%=2.7兆円)を前提にすると、PB黒字化には7年程度かかり(18.4兆円÷2.7兆円=6.8年)、新たなPB黒字化目標は2024年度となる(図表3)。2024年度を目標とすれば、進捗(しんちょく)の中間評価を行うタイミングはおそらく2021年央頃と見られる。

安倍首相が党総裁3選となった場合の任期が2021年9月であるため、安倍首相は自身の任期中、財政健全化目標に大きく縛られることなく、経済再生に向けた財政運営を行う「一定」のフリーハンドを確保したと言える。内閣府は先日、足元の経済・物価状況の改善を、脱デフレに向けた「局面変化」と前向きに評価したが、「経済再生」そして「デフレ完全脱却」に向けて、景気刺激的な財政・金融政策運営が続けられることになろう。財政健全化は、ポスト安倍の手に委ねられることになる。

消費増税先送りのハードルは高い

なお、財政運営に関して、「一定」のフリーハンドと断ったのは、2019年10月に予定される消費増税に関しては、首相のフリーハンドは低下した、つまり先送るためのハードルは上がってしまったと考えられるためだ。金融市場では、2019年10月の消費増税が先送りになる可能性はまだ十分にあるとの見方も少なくない。