住友商事が全社的に行っている朝礼は「マンデー・モーニング・メッセージ(MMメッセージ)」という。なんだかラジオの早朝番組のようなネーミングだが、内容は正統派であり、企業における朝礼の本道ともいえる。

約20名の部員と部長が会議室に集まった。全員着席のまま、部長の話に耳を傾けている。

約20名の部員と部長が会議室に集まった。全員着席のまま、部長の話に耳を傾けている。

MMメッセージは2002年に始まった。目的は社員同士のコミュニケーションを深め、組織の風通しをよくすること。発案者は岡素之社長。毎週1回、月曜日の朝に行われ、各部長が部員にスピーチをする。時間は長くて15分ほどで、語られる内容は会社の戦略伝達から部長個人の独白までと幅広い。

私が見学したのは住友商事のなかでも成長が著しいケーブルテレビ事業部の朝礼だった。しかし、「この日に来てください」と告げられたのは、なぜか火曜日の午後5時だったのである。

 「あれ、MMメッセージは月曜じゃないの……」

不審な顔で出かけていった私に、部長の御子神大介氏はこう説明した。

 「ケーブルテレビ事業部は総勢58名なのですが、うち39名がグループ会社へ出向しています。月曜の朝は彼らも各職場で朝礼をやっていますから、こちらへ来いとはいえません。MMメッセージの目的は部員に督促して集めることでなく、コミュニケーションを深めること。ですから、運用はそれぞれの部の事情に合わせて弾力的にやっているのです」

御子神部長はMMメッセージを始めてから、出向した部員とのコミュニケーションがよくなったと感じている。

「商社は他の業種に比べて出向者が多い。そして、私も経験がありますが、出向者にとって本社の敷居は高いのです。毎週朝礼があれば、彼らも本社に足を運びやすい。部員が全国に散らばるうちの部にとって、顔を突き合わせて話をするのはとても重要なのです」

(尾関裕士=撮影)