夢にまで出てきた、豊田議員……

吾輩はハゲている。

それゆえに、最近のワイドショーや政治ニュースをテレビで観るのが億劫だった。

東京都議会選挙で自民党が歴史的な大敗を喫した原因の1つとされる豊田真由子衆院議員のパワハラ音声。

「違うだろ! このハゲ!」
「ちーがーうーだーろー」
「この、ハゲーーーーーッ!!」

である。連日連夜この音声をテレビで聞くたびに、私が怒鳴られているような気がして、ずっとビクビクしていた。最後には、夢にまで豊田氏が出てきて、私を罵るのだ。本当に悪夢のような毎日だった。

ハゲの心を蹂躙した「このハゲ!」旋風
「報道は予期せぬ人たちを傷つけてしまうことをメディアで活動する諸君にはハゲしく自覚してもらいたい」と飯島氏。写真は、初当選を果たしたころの豊田真由子氏(2012年)。当連載はお陰様で200回目を迎えました。(朝日新聞社/時事通信フォト=写真)

豊田氏の出身官庁である厚生労働省は、私がかつて厚生大臣秘書官(当時)だったので関係も深い。豊田氏の初当選から何度か手助けしたことがあり、知らない仲ではない。実際に会うと腰も低く、いつも丁寧にあいさつしてくれて、感じのいい女性だと思っていた。だから今回は本当に驚いた。豊田氏が目上の人に対する態度と目下に対する態度が全く違う二重人格だったということなのであろう。まあ、永田町にはああした2つの顔を持つ議員は山ほどいる。秘書がコロコロ変わるような議員は根本的に信用してはいけない。給料も安く労働時間がものすごく長いような環境下でも、自分から見て尊敬に値する政治家であれば秘書は必死で働くものだ。逆に、いくらお金をもらっても人格を否定されてはやっていられないだろう。