明けない夜はないバレないカツラもない

私の場合、ハゲてもスキンヘッドにしても仕事への影響はあまりなかったが、唯一の問題が目立ってしまうことだ。

小泉純一郎総理(当時)が2004年に訪朝したときの金正日国防委員長(当時)と握手した記念写真には、なぜか自分が両首脳の真ん中に写っている。悪目立ちしていて今見返しても居たたまれない。あれは北朝鮮側から指示された立ち位置で、両首脳よりはずいぶんと後ろに立っているのだが、遠近法が役に立たないほど頭部が目立っていて、立ち位置を決めた北朝鮮側のハゲしい悪意を感じたものだった。

ハゲていると、髪形で顔の印象を変えることができないので、いつでも自分の顔で勝負せざるをえない。額縁のない絵と同じで“実力”が如実に表れてしまう。現在発売中の拙著『ドン』の表紙は、著名な写真家に撮影してもらったのだが、シミやシワが丸ごと写っている。まさに、何も飾らない等身大の私が写っているようで気に入っている。

そういう私なので、今までカツラを着けたことがない。古くからの知り合いに、有名な元議員の秘書でカツラ着用の男がいる。総理秘書官になったときに、久しぶりに会ったのだが、サイズが合っていないのか、後頭部が浮いていて、隙間から自分の毛が見えていた。私は「暑いねえ」といいながら、頭を掻いたりして気づいていることをさりげなくにおわせてみたが、本人は絶対にバレていないと思っているようだ。明けない夜がないように、バレないカツラはない。カツラをこれから着用する人は、心しておいたほうがいいと思う。そのカツラの友人と一緒に旅行したこともある。同部屋にしようと誘うと「私は歯ぎしり、イビキが激しくて、寝相も悪いので一人部屋にしてほしい」と懇願された。カツラのために旅先でも開放的になれないのはかわいそうだと思った。世界中あちこちの国を歩いてみると、隠しているかそうでないかの違いかもしれないが、日本はハゲの絶対数がそれほど多くない。そして、世界的に共通しているのが、髪の毛が少ない人の90%以上がヒゲを蓄えていること。特に、アラブを中心にしたイスラム教の国では、ヒゲは大人の男性の証しということで、みんな立派なヒゲがあってうらやましかった。

しかし、どの国に行っても、同種族に目が行って「ああ、兄弟がいる」と妙な安心感を覚える。例えば、ソフトバンクの孫正義会長だ。彼のカネ儲け至上主義はどうかと思いつつも頭部については親近感を覚える。彼がかつてツイッターで発信した名言は全国のハゲを勇気づけた。

「髪の毛が後退しているのではない。私が前進しているのである」

豊田議員の言葉などに傷つく必要はない。みんなで前進していこう。日本の未来はハゲしく光り輝いているはずだ。

(写真=朝日新聞社/時事通信フォト)
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