家族葬規模で55万円~の割安さを実現

準備期間を経て、鎌倉自宅葬儀社が発足したのは2016年8月。馬場氏と事務方スタッフの計5名で動き出した。対応エリアは鎌倉に拠点を置きつつ、神奈川と東京、千葉、埼玉の1都3県。この1年での実績は数十件あり、本人や家族からの生前予約は約60件。顧客の大半は、亡くなる前から生前予約を済ませているという。

ここで鎌倉自宅葬儀社のスタイルを見てみよう。

住まいは一戸建てに限らず、マンションやアパートでも可。ただし、管理組合や近隣の許可がなければ難しい。また、一戸建てであっても寝台車(霊柩車)が入れない狭い路地にある場合は厳しいため、ホールでの葬儀を提案するようにしている。

基本コースは無宗教スタイルと導師を招く宗教的儀礼付きの2種類あり、それぞれに「シンプルプラン」(3日目安)と「スタンダードプラン」(7日目安)がある。そのほか、フルオーダーでの葬儀も受け付けている。

・無宗教シンプルプラン(3日間目安)
人数規模 ~10名
儀式 火葬
税別金額 25万円
 
 
・無宗教スタンダードプラン(7日間目安)
人数規模 ~30名
儀式 火葬、お別れ会
税別金額 55万円
 
 
・宗教儀礼つきシンプルプラン(3日間目安)
人数規模 ~10名
儀式 火葬、宗教儀礼(読経など)
税別金額 35万円
 
 
・宗教儀礼つきスタンダードプラン(7日間目安)
人数規模 ~30名
儀式 火葬、宗教儀礼(読経など)、式の進行
税別金額 85万円
 

シンプルプランは、「直葬(ちょくそう)」と呼ばれる、葬式をせずに火葬のみを行うスタイルに近い。自宅を経ない一般的な直葬でも20万円程度かかるのが相場なので、リーズナブルな価格設定といえる。スタンダードプランは、一般に「家族葬」と呼ばれる小規模葬儀のスタイルに近い。家族葬は低価格なサービスで50万円前後+お布施という具合なので、こちらも時間を加味すると同程度の割安さを感じる。

出張料理サービスや花装飾など(いずれも5万円~)のオプションサービスを追加すれば料金が上がっていくが、弔問客へのもてなしは不要なので、これらを一切追加しない手もある。実際に、「故人がカレー好きだったから」と作り置きのカレーを皆で食べて過ごした喪家もいたという。

自宅に棺を安置し、花を飾る。