今年4月1日から「ガス自由化」がスタート。消費者は従来、発電から送電、小売りまでを手掛ける、決まったガス会社としか契約を結ぶことができなかった。しかし、今回の自由化によって、新規事業者もガスを小売りできるように。消費者は「誰からガスを買うか」を選べる時代になったのだ。

ガス自由化に先んじて、2016年4月からは「電力自由化」も始まっている。以前は決まった電力会社としか契約できなかったが、自由化で電力小売りへの参入企業が急増。価格競争が起こり、契約相手次第で電気代を安くできる状況になっている。ちなみに、17年2月までに成立した電力会社の切り替え件数は、約311万200件(※電力広域的運営推進機関調べ)。全国の家庭の約5%が切り替えたことになる。

電力小売りに新規参入した企業は、ガス会社や通信会社など多種多様。誤解されがちだが、自由化後も基本的に発電や送電は既存の電力会社が手掛ける。小売業者は電力の販売窓口になるだけなので、発電所などを保有していない企業でも参入が可能だ。

このような構造だからこそ、契約する電力小売会社を変えても、停電しやすくなるような恐れはない。大掛かりな工事も高いコストも必要なく、申し込みは簡単だ。

これらの点は、ガス自由化についても同様のことがいえる。まず、依然としてガスを供給するのは既存ガス会社なので、契約相手(ガスの小売業者)を切り替えても、ガス導管を新たに敷くことはなく、ガスの品質も変わらない。切り替えコストもかさまない。それでいて、価格競争が起こればガス料金は下がる。