見直すタイミングと落とし穴

昨春からはじまった電力自由化に続き、今年4月からは都市ガスの自由化がはじまる。かつての電力会社と同様、これまではガス会社も管轄地域で独占的にガスを販売できたが、自由化後は他の業者も自由に参入でき、任意で料金を設定できる。

しかし、土地と発電設備さえあれば参入できる電力市場に対し、ガス市場に参入するには都市ガスの原料となる天然ガスを調達しなくてはならない。そのほとんどは輸入に頼っているため、新規参入できるのはすでに発電用に大量の液化天然ガスを持つ電力会社や石油会社、鉄鋼会社が中心になる。

なかでも電力会社は、ガス会社のもっとも手ごわいライバルになるだろう。ガス業界トップの東京ガスが年間1200万トン輸入している中、東京電力は年間2500万トンと国内トップの輸入量だからだ。

といっても、利用するガスの導管はこれまでと同じなので、品質に変化はない。私たち消費者は、純粋に料金プランやサービスでガス事業者を選べばいい。

電気・ガス・水道などは、自動的に口座から引き落とされるという意味で、保険や家賃などと同じ「固定費」的な位置づけである。固定費は、一度見直せば自動的に節約効果を発揮する。

電力自由化においても、標準的な4人家族でシミュレーションした場合、利用会社を見直すことで年間5000円程度料金を引き下げることができた。ガス自由化を控えた今、もっとも大きな節約効果を得るにはどうすればいいか。

もし現在、電力事業者の見直しを行っていないなら、しばらくは「現状維持」が正解だ。安い料金プランを掲げる業者には、「2年縛り」などの制約を設けるケースもある。ガス自由化によってもっと魅力的なプランが登場したとき、簡単に乗り換えができるよう、今は身軽でいるべきだ。電気料金が安くなるとはいっても、年間5000円程度である。違約金などのペナルティがあれば節約効果が低くなるうえ、煩雑な乗り換え手続きを何度も行うのは不毛である。