また、安易に「セット割」に飛びつくのも得策ではない。かつての保険の自由化を思い出してほしい。自由化が進むにつれて、保険会社ごとに強みができ、単品でそれらを選んで組み合わせるほうが1社のセット割よりも安いという結果になった。

電力・ガス自由化においても状況は同じだ。電力自由化の際は、新規参入業者も含めた新料金プランが出揃うのに開始直前までかかった。それを踏まえると、ガス自由化による新料金プランも出揃うまでは契約を待つほうがいい。電気料金比較サイト「エネチェンジ」と同種のガス料金比較サイトの登場を待ち、プランを吟味しよう。

節約効果など自由化のメリットばかりを挙げてきたが、注意点もある。一つは先に挙げた契約解除のペナルティである。

もう一つは、滞納に対する厳しさだ。これまでは、ガス会社の側にもライフラインとしての意識が強かったため、数日支払いが遅れても電力・ガスの供給が止まることはなかった。しかし、自由化されればこれまでの常識は通用しないかもしれない。

また、地方のガス会社は経営体力が乏しく、老朽化したインフラを抱えているケースも多い。都市部ほどの新規参入がないこともあり、料金格差が広がることも考えられる。

今は、徐々に発表される情報を集める時期だ。安易な契約を避け、最良な選択を。

藤川 太

ファイナンシャル・プランナー。CFP認定者。宅地建物取引士。慶應義塾大学大学院修了。自動車会社で研究開発に従事後、ファイナンシャル・プランナーに。「家計の見直し相談センター」を設立。
 
(大高志帆=構成 小原孝博=撮影)
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