儲けたいなら実践すべきこと

2016年の株価は11月に反転、上昇に転じました。ドナルド・トランプ氏が米大統領選で当選した直後、11月9日の日経平均株価は1000円近く大暴落したものの、その後は一転してトランプ次期米大統領の経済政策に対する期待と円安・ドル高の進行から、またたく間に1万8000円台を回復、2万円にも到達しそうな勢いです。しかし、「株が上昇中だから、今すぐ買わないと……」と考えるのは早計。というのも、17年は上がったと思ったらドカンと下がる相場展開が予想されるから。

私の17年の日経平均株価予想は1万5000~2万円。振れリスクの1つは「反EUの再燃」です。4月下旬~5月初旬にフランス、9月にドイツが国政選挙を予定していますが、もし反EU政党が躍進すれば、16年6月に起きた英EU離脱ショックと同様、1日で1000円以上の株価大暴落や急激なユーロ安・円高を招くでしょう。

最大のリスクは「トランプ大統領の暗殺」、あるいは未遂。暗殺計画が明らかになった歴代大統領は16人にも上るそう。あってはならないことですが、主張が際立つトランプさんは暗殺&未遂リスクが高いのではないでしょうか。数年という期間でいえばトランプ大統領の任期途中の辞任もありうるかもしれません。

ほかにも、日中の東シナ海問題や新興国経済の先行き不安など、市場を揺るがす材料はいくつもあります。こうした状況下、株で儲けたいならぜひ実践してほしいのが「株価が大きく下がったら買う」こと。大勢の投資家が悲観にくれているときこそ、安く買えるチャンス。もし日経平均株価が急落したら、絶対に見逃してはいけません。17年はそのチャンスが何回かありそうです。日経平均株価を目安にすると、暴落時に1万5000円前後で買い、相場が回復した1万8000円以上2万円前後で売って利益を確定させるイメージです。18年はさらに厳しい相場になりそうですから、しっかり売り抜けてください。

では、どんな銘柄を狙うべきかといえば、まずは規制緩和メリット株への注目です。「三菱UFJフィナンシャル・グループ」や「野村ホールディングス」なら買いやすい100株単元、低位株なので分散買いもしやすいと思います。

安定性+技術志向ならセンサーや制御技術に強みを持つ「オムロン」。自動車のドライバーの状態をリアルタイムに判定できる世界初の車載センサーを開発するなど、今後、IoT(モノのインターネット)向けのセンサーで注目されそうです。海外での売上比率が高く円高に弱いため、前述した「反EUの再燃」のような株価急落、円高局面は「安く買えるチャンス」になるでしょう。IoT関連では半導体商社の「兼松」、同グループの「兼松エレクトロニクス」も有望です。

団塊の世代が75歳を迎える「2025年問題」でニーズが高まるヘルスケア分野では、スキンケアで売り上げを伸ばす「ロート製薬」、ドラッグストアを中心とした化粧品・日用品等の卸売会社「あらた」のウォッチがお勧め。大阪府が目指す25年の万博(国際博覧会)のテーマは「人類の健康・長寿への挑戦」。ヘルスケア関連銘柄への関心はますます高まるでしょう。

当たればデカい大穴狙いなら、建築関連廃棄物の処理・再資源化事業を展開する「タケエイ」。政府が推進する建築物の老朽化対策「インフラ長寿命化基本計画」、20年東京オリンピックやカジノIRに向けたインフラ整備、築年数の古いマンションの再生を容易にする「改正マンション建替え円滑化法」が追い風になります。

木村佳子

経済評論家。株式評論では銘柄予測の的中率も高く、ランキング評価は常にトップクラス。一級FP技能士、IFTA国際連盟認定国際テクニカルアナリスト。
 
(構成=河合起季 撮影=榊 智朗)
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