――不本意な部署へ異動させられて、やる気が出ません。

でも、仕事に張りが出ずにずっと落ち込んでいたら、さらにうまくいかなくなる「負のループ」に陥っていくだけですよ。

僕が20代のときに大手企業の人事部の人から聞いて「怖い」と思った話があります。

その会社は、当時大卒を500人採用したうち、数年後に200人くらいを出世レースから落とす。さらに数年後に100人を落とす。そうして順次ふるいにかけていき、10年目には幹部候補生は数十人しか残れないそうです。

僕が「数年で出世レースから落とされた人は、やる気が起こらなくなるのではありませんか」と聞くと、その人はニッコリ笑ってこう言いました。「出口さん、その心配はありません。落とされた人がやる気をなくして手抜きした仕事をすれば、無限に落ちていくだけなので」。

――いくら頑張っても、報われないこともあるんですね。

あなたが出世レースから外された原因は、何だと思いますか。

――上司とソリが合わなかったからだと思うのですが。

歴史を紐解けば、ほぼすべての人があなたのような挫折感を味わっています。

出世レースから外れたということは、自分が「多数派である」ことを確認しただけだと思えばいいのです。

毎年200人が入社する会社で、社長が5年で交代するとすれば、社長になれるのは1000人に1人です。999人はどこかで落ちていく。それに、出世はほとんど運ですよ。

――そうは言っても、私は今の会社で出世したかったんです。

「出世したい」という欲望はいたって健全です。でも、たまたまの巡り合わせで出世レースから外れ仕事に張りをなくしたら、人生が面白くないでしょう。

もちろん仕事が面白くなければ、転職を考えてもいいと思います。

(構成=八村晃代 撮影=市来朋久)

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