「仕事にやる気が出ない」「もっと頑張らなくては」──。こんな悩みを抱えている人は多いのでは。今大ブームのアドラー心理学は、無理に頑張らなくても、自分のやる気を引き出せる方法を教えている。やる気をなくしてしまった7つの症状別に「やる気が湧く行動習慣」を紹介していく。

(6)家庭トラブル型

それは誰の問題か? という問いをしてみる

家人に始終文句をいわれてムシャクシャする。子供が学校に馴染めず不登校になりそうだ。こんな苛立ちや心配ごとを抱えたまま職場に向かい、勤務時間中も気になって仕事に集中できない――。大なり小なり、こうした経験を持つ人は多いだろう。

こうした場合、まず思い起こしたいのがアドラーの「課題の分離」だ。アドラー心理学では、「それは誰の問題か?」という問いを重要視する。

「家族やプライベートの人付き合いに振り回されている場合、まず課題の所在をはっきりさせよう」とアドラー派の心理カウンセラーでもある小倉広氏はいう。冒頭の例でいえば、家人が不機嫌であることや、子供の不登校が課題なのではない。「それに振り回されている自分」が課題なのだという認識を持つことが解決への近道となる。

課題を分離できたら、次に行動に移してみよう。子供の不登校が心配ならば、子どもを変えようとせずに、自分ができることだけを考える。学校に行けない子供をどうやって応援できるのか。たとえば、学校以外の勉強の機会を探すなど、「子供が学校に行かない」という課題を「自分には何ができるか」という課題に切り替えていく。

常に「あなたの課題は何か」という視点を忘れなければ、いたずらにプライベートな問題に振り回されて、仕事のやる気を損なうこともないだろう。

理屈では分離ができたつもりでも、ついつい引きずってしまうこともある。そんなとき、いちばん簡単なのは深呼吸だ。たかが深呼吸と侮ることなかれ。行動イノベーションの専門家である大平信孝氏いわく、やる気と密接な関係にある自律神経をコントロールする手段として、唯一自分でできるのが呼吸なのだ。

会議中に、家人と前夜にいい争ったことを思い出し、急に気持ちがざわついてくるようなことがあれば、すぐに深呼吸してみよう。いったんその場を離れられれば効果が高いが、応急処置としてはその場で呼吸に集中するだけでもだいぶ違う。

もしそれでも収まらなければ、次に大平氏が勧めるのは、気になっていることをメモに書き出すこと。メモ用紙や書類の片隅でもいい。課題だと感じていることをワーッと書き出し、それを引き出しなど目に触れないところにしまってしまおう。そうやって、私的な問題をいったん「封印」するのだ。