年をとるにつれて温和になる人もいれば、若いころは温和だったのに、年を重ねるごとに怒りっぽくなる人もいる。どこが分かれ目なのか。精神科医で、聖路加国際病院リエゾンセンター長の保坂隆氏が分析する――。

「肩書」に執着すると短気な人になる

年をとってよく怒るようになる人と、そうでない人の違いは何でしょうか。それは、「定年退職した後に現役時代の自分に執着しているか否か」だと私は思います。執着のある人は、役員や部長など「偉い人」であった自分を心の拠り所にし、自分と周囲の人の間に勝手に上下関係をつくります。誰に対しても上から目線で接し、自分を目上の人として扱わない人に対して、非常にイライラするのです。

こうした人は会社関係の人以外に繋がりがなく、たいてい暇で孤独。昔の仲間とたまにゴルフに行くぐらいで、普段は家にこもり、家でも威張るので、奥さんにも嫌われます。

一方で、過去の栄光など早々に忘れてしまい、趣味に没頭したり、新しく何かを始めている人は、さわやかで全然イライラしていません。共通の趣味や話題を持った、上下関係のない新しい友達をつくることができます。あまり家にいないので、夫婦も円満。平穏になれるのです。