借金は夫の定年までになくす

借金を減らして、現金を増やす。老後の準備は、これに尽きます。特に夫の定年までに、借金をなくしておくことが重要です。例えば現在、住宅ローンは70歳まで組めますが、年金で、毎月、10万円のローンを払っていたら生活できません。ですから、どんなに遅くとも65歳まで、可能なら50歳で借金と貯蓄をプラス・マイナス・ゼロにしておけば、大成功の人生ですよ。

荻原博子氏●経済ジャーナリスト。経済事務所に勤務後、1982年にフリーの経済ジャーナリストとして独立。わかりやすい語り口で、各種メディアで活躍している。『荻原博子のどんと来い、老後!』(毎日新聞出版)など著書多数。

なぜなら、あとは貯める一方だからです。今まで借金返済に払っていた分はもちろん、50歳ぐらいには子供も手が離れるので教育費も浮きます。月に10万円から20万円貯められるようになりますから、60歳までに1200万から2400万円ぐらい貯まる計算です。65歳まで稼げれば、その分も上乗せできます。定年時にそれだけ貯金があれば「勝ち組」です。

そのためにも、住宅ローンはなるべく繰り上げ返済をしていくべきです。目の前に使えるお金が100万円あっても、消費や投資に回すのではなくローンの返済に充てる。100万円繰り上げ返済したら、利息が100万円減る場合もあります。つまり100万円が200万円になるわけですから、投資と考えても、こんなに割のいい話はありません。

ですから、まず夫婦で話し合うべきことは、どうやって最低65歳、できれば50歳までに借金をなくすかという方策です。その際には、細かなことまで突き詰めないことがポイントです。細かく話せば話すほどすれ違いが生まれ、溝が深まっていくだけ。もともと違う人間なのですから、意見が完全に合うことなんてありません。夫婦の話し合いでは、合わせるのではなく、一緒にやろうという意思が大切です。

例えば、家計を見直す場合にも、夫の視点と妻の視点は違います。会社でうるさく経費節減を言われている夫は、車のローンや生命保険、通信費など大きな支出の見直しが得意です。そちらを夫に任せつつ、妻は細かい日々の生活費をしめる。こうして2人で家計を見直していくと、よりお金は貯まりやすくなります。