夫婦の協力関係を再確認する

問題は、普段から夫婦で話し合う習慣があまりない家庭が多いことです。子育て期間中は、子供が共通の話題になっていたけれど、手が離れたらめっきり会話が少なくなったというケースはよく見られます。特に、妻が専業主婦の場合、夫婦があまりにも違う環境で生きてきたため、夫が定年退職するとうまく生活がマッチングしないことも多いのです。

毎日、夫に家でゴロゴロされても、妻にとってはうっとうしいだけ。夫は妻の小言に辟易する。そんな老後にならないためにも、夫の定年までに夫婦が互いに歩み寄れる下地をつくっておくことが大切です。

ひとつは夫が家事を手伝うことです。これは老後の人生にとっても大切なことです。家事ができれば妻が寝込んだり、先立たれたりしても暮らしていくことができます。何よりも妻の苦労を知ることになります。

家事のなかでも、特に料理がおすすめです。料理は頭と体、五感を使うからです。献立を考えるために頭を使い、散歩がてら買い物に行く。調理は手先や味覚の訓練にもなる。ボケ防止や健康にいいことばかりですから、無駄な医療費を抑えることにもつながります。そして、出来上がった料理を妻や友人にふるまえば、感謝されたり褒められたりして自分も満足できる。料理ひとつで老後の人生が明るくなるわけです。

一方、特に専業主婦の妻には、外で働いてみることをおすすめします。体が弱くて働けない人もいますから強要はしませんが、可能であれば自分でお金を稼ぐ経験をしたほうがいいと思います。家計の助けにもなるし、夫の苦労がわかるようになる。そうすれば、家ではどうしようもない宿六だと思っていた夫のことを見直すことになるはずです。