老後のさまざまな生活設計も、すべては健康であってこそ。そして、働き盛りのあなたの体の中でも、すでに老化現象は始まっている。最新の科学的知見に基づいた、今日から始めるアンチエイジング習慣。

今から努力すれば老化の進行は止められる

長生きするのもいいけれど、できればお迎えがくる直前まで、元気に活動できる体でいたいもの。

介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる年月のことを、「健康寿命」と呼ぶ。厚生労働省の2013年の統計によれば、日本人の健康寿命は男性が71.19歳、女性が74.21歳。平均寿命との差は、それぞれ9.02年と12.4年ある。

具体的にどうすれば、長く元気に生活できるのか。そもそも、老いという現象を自分でコントロールできるのか。

できる、というのは、日本におけるアンチエイジング医療の草分け、満尾正医師だ。「老化そのものは、実は20代から始まっています。そのなかには老眼や薄毛など、努力では止めにくい現象もありますが、ちょっとした注意や努力で進行を抑制できる部分も大きいんです」。

満尾クリニック院長 満尾 正氏

「40代から60代までの間に体を整え、70代以降はそのおつりで生きていくことを目指しましょう」と言うのは、日本抗加齢医学会の正会員でもある管理栄養士の堀知佐子氏。健康運動指導士の菅野隆氏は、「運動や歩行に問題が出る年齢より前に、筋力トレーニングを習慣化しておくことが必要です」と助言する。

この3人の専門家に、健康寿命を延ばす方法を尋ねてみた。まずは、満尾正医師に、老化の大きな要因と対策を聞いた。