老化のしくみを理解し、生活を見直せば
「老けない体」をつくることは可能

健康寿命を損なう病気には、心臓病、脳血管障害、糖尿病、骨粗しょう症など、さまざまなものがあります。とくに糖尿病は、他の生活習慣病やガン、認知症の発症リスクも高める怖い病気です。

こうした病気の多くは、加齢に伴う身体の「老化」が原因で起きてきます。老化の進行要因は、以下の3つです。

(1)活性酸素による酸化――人体は外部から取り込んだ糖質や脂質を酸素と反応させ、エネルギーを取り出しています。このとき発生する活性酸素が、細胞を構成する脂質などを傷つけ、「体のさび」が徐々に進行します。活性酸素を無害化する酵素も、加齢とともに減少します。

(2)タンパク質の糖化――生きるために必要なエネルギー源である糖が、体を構成する主成分であるタンパク質を変化させます。その結果、細胞や酵素などの働きが悪くなり、体の機能低下につながります。

(3)ホルモン分泌の変化――若さを保ち、免疫力を維持するDHEA、筋肉量や筋力の維持に関わる男性ホルモン(女性の体内にもあります)、睡眠に関係するホルモン(メラトニン、セロトニン)の分泌が、ストレスが原因で下がり気味になり、さまざまな不具合が生じます。

とはいえ、これらの現象は、日ごろの生活習慣を見直すことで、かなり進行を遅らせることができます。たとえば、活性酸素による酸化は、抗酸化物質や、SODの材料となるタンパク質や亜鉛を含む食材を意識してとること、喫煙や暴飲暴食、激しすぎる運動を避けることなどで抑制できます。糖化の予防には、糖質の多い食材を控えめにすること、タレを付けて焼いた肉の焦げ目など糖とタンパク質が高温で結びついてできるAGEs(最終糖化産物)の摂取を控えること、体の満腹サインを受け取れるようゆっくり食事すること、の3点を心がけてください。

ホルモンレベルの維持には、質のいい睡眠の確保が重要です。人の脳や体は、眠っている間にホルモンの力でメンテナンスされるしくみになっているからです。どんなに遅くとも夜12時前、できれば11時前には床につくことが望ましいです。ストレス対策は暴飲暴食ではなく、軽い運動で。DHEAはサプリメントで補充することも検討してください。

働き盛り世代の老化信号は、体重に出ます。最近急に体重が増えた方は、とくに注意してください。BMI(※)が25を超えると、糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクが大きく高まります。

※BMI=ボディマス指数。体重(kg)を身長(m)の2乗で割ったもの。