本人に悪気はないのに、周りがどきっとする物言いをしたり、傲慢な印象を与える年配男性っていますよね。こういう男性のことを紐解く前に、発達心理学における老年期の心理を知る必要があります。
傲慢と感じるのは、あくまで自分たちの世代の価値観と比較した場合のこと。いま、老年期にある男性たちは戦争で平和を奪われ、戦後は高度成長期をがむしゃらに働き続けてきた世代です。そういう時代を生き抜いてきた人たちですから、いまと価値観が異なって当たり前なのではないでしょうか。
たとえば石原慎太郎さんを「なんであんなに傲慢で尊大なの?」と思う人は多いかもしれませんが、石原さんが生きてきた時代であれば、それが普通だったかもしれません。いまの価値観でばっさり判断して切り捨ててしまっては、少しかわいそうな気がします。
ただ、老年期になれば自己中心的でわがままになる傾向があるという研究結果も出ています。老化とともに受け身になり、頑固、独善的といった特徴が顕著になります。人は青年期から成人期にかけて、発達していきますが、老年期にさしかかると収束に向かいます。体力も低下し、内向的になったり、反射的に反応する速度も落ちます。
年配男性本人は、何となく「若い人にはこういう態度のほうがいいのかも」とわかっていても、反射的に動きにくくなります。とはいえ、作業を繰り返して知識や能力を習熟させる「結晶性知能」はありますから、努力を重ねれば、AKB48のメンバーの区別だってつくようになります(笑)。