自信なき上司ほどバカな部下が好き?

明らかに能力が劣っている男性部下が、男性上司にかわいがられて上に上がっていく。それを見ている他の部下、特に優秀な女性ほど「仕事ができないのに不公平だ」と不満を持って腐っていってしまう。どこの組織にもありがちなことではないでしょうか?

男性は自分のサバイバルスキルが別の人より優れているか常に気にしています。だから心のどこかで自らのサバイバルスキルに自信がない男性上司ほど、自分のスキルの欠陥を指摘しない、気づかない男を傍に置こうとします。要するにスキルが自分より劣っている「できない男」です。また、自分より優秀な部下を傍に置けば、いつか自分が蹴落とされて序列が下位になってしまう可能性が強くなる。それを極度に恐れる男性上司であれば、あえて能力の高くない部下を傍に置くかもしれません。

また、できない男性でかわいがられるタイプは「ゴマすり能力」にたけているケースが多いのですが、ゴマすりは「察する能力」が高い人には通用しません。相対的に見て、女性には男性よりこの能力が高い人が多いと言われています。ですから、従順に仕事をしているフリだけしていても、「女の勘」とも言われるこの能力が高い上司には見破られて切られてしまう確率も高いでしょう。

女性上司は一般的に、「役割を果たしていない」部下には男性上司以上に厳しいうえ、公平性を損なうという意味で、あからさまなエコひいきはあえてしない人も多いのです。

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自信がない上司は、「ホモフィリー」かつデキない男を可愛がる!?

ただし、性別や能力を問わず、価値観の近い人がかわいがられるという傾向はやはりあります。人の性質として「ホモフィリー」という概念があります。同じ価値観や性質を持っている者同士はつながりやすく、そのつながりは強固なのです。誰が自分と味方(=同質)で誰が敵(=異質)かということを我々は常に判断して生きている。だから仕事があまりできなくても、上手にホモフィリーの関係であることをアピールできる人間が取り立てられるという現象は、実は男女ともに起こりやすいのです。

ただしこの傾向があまりに強い組織は、突然の変化に対応できないといったリスクが生じてきます。それを防ぐためには、価値観は異なっても、利害が一致するつながり(ヘテロフィリー)も必要となってきます。