トランプ大統領による政権運営が始まった。4年の任期中、彼が最重視するものは何か。政権運営マーケティングの視点から予測する。
「一流の国際的ビジネスマン」が大統領になると……
アメリカ合衆国第45代トランプ大統領が誕生した。彼はいったいどんな大統領になるのだろうか。就任演説では総じて大きな失望感を与え、アウトサイダー的な大統領としてのスタートを切ったトランプ。もっとも、これからの不透明で不確実な世界情勢の中で、トランプをそのような単純な見方だけで片付けるのでは不十分だろう。
私は、2016年12月にトランプ次期政権移行チームのメンバーが来日した際に、トランプのことを側近として熟知している人物から直接話を聞く機会に恵まれた。
その人とは、次期政権移行チームメンバーであり、大統領選挙における安全保障での上級顧問およびミシガン州における選挙対策委員長を務めたピーター・フークストラ氏だ。彼から聞いた“トランプ、3つのポイント”は、大統領就任後、どのような政策を実行していくのかを予測するのに大きな示唆を与えるものである。
1)一流の国際的ビジネスマン(=トランプの本質)
2)ハードネゴシエーター(=トランプの差別化戦略)
3)交渉戦略×マーケティング戦略(=トランプの差別化戦略の要諦)
まず「一流の国際的ビジネスマン」であるということがトランプの本質であり、政治の世界においても「一流の国際的ビジネスマン」としての優れた知見を発揮するであろうということだ。トランプは不動産デベロッパーである。現代の不動産ビジネスは、上場の金融商品でもあるREIT(不動産投資信託)を通じて、グローバルの不動産マーケットはもとより、債券・株式・外国為替マーケットと密接につながっていることが特徴だ。トランプ自身が、採用した政策がマーケットに与えるインパクトを、国際的な不動産ビジネスを通じて肌感覚で理解しているものと考えておくべきだろう。