2016年9月、有志団体「One JAPAN」の第1回イベントが開かれた。参加したのは、NTTグループ、JR東日本、トヨタ、日本郵便、富士ゼロックスなどの大手企業26社に勤める若手社員120名。
代表を務める濱松誠さんは、パナソニックの現役社員で、パナソニック電工と三洋電機がパナソニックの完全子会社になった2012年に「One Panasonic」を立ち上げた人物である。
濱松さんは京都生まれ、大阪外語大でヒンディー語を学んで卒業し、松下電器産業に入社した。花形である薄型テレビ部門やインドでの事業企画を経験し、働き方として「二足のわらじ」スタイルを実践する33歳(※取材時)だ。濱松さんは何を目指してOne Panasonic、そしてOne JAPANを立ち上げたのか? 濱松誠さんと田原総一朗氏の対談、完全版を掲載します。
One JAPANは「大企業2.0」
【田原】濱松さんは大企業の若手有志で「One JAPAN」という団体を立ち上げられた。これは何をする団体ですか。
【濱松】一言でいえば、「大企業2.0」。これまで大企業を覆っていた空気を変えるための団体です。参加しているのは20~30代の若手ビジネスパーソン。経団連のように提言するだけでなく、行動を通して空気を変えていきたいと考えています。
【田原】どんな行動をするのですか。
【濱松】3つのことを実践していきます。1つ目は、イノベーション。大企業は良くも悪くもまだまだ自前主義が残っていますが、若い世代が中心になってさまざまなところと連携してイノベーションを起こしていきます。
【田原】イノベーションって、具体的に何をするんですか。
【濱松】2016年9月に発足したばかりで未知数なところがありますが、たとえばベンチャーやNPOなどとマッチングの機会をつくり、新しいものを生み出せそうなら、それぞれの会社に持ち帰ってやってみるということが考えられます。もちろん集まった会社同士がコラボレーションしてイノベーションを起こすこともあるでしょう。たとえいますぐ実現できなくても、5年後、メンバーが40代になって部課長クラスになれば組織を動かせるかもしれない。いずれにしてもイノベーションのプラットフォームになりたいと思います。
【田原】新しいことをやりたいなら、ベンチャーのほうがいいんじゃない?
【濱松】その選択肢ももちろんあります。ただ、田原さん、大企業には、人、技術、お金、ブランド、歴史、信頼など、有形無形の資産がたくさんあります。新しいことをやるにしても、それらを活用しないのはもったいないし、資産を活用しながらベンチャー企業と組んで新規事業を生み出すこともできます。