大企業でも多様なワークスタイルを模索したい
【田原】2つ目はなんですか。
【濱松】2つ目はワークスタイル、つまり働き方です。最近広告代理店の事件が注目を集めましたが、あれは大企業で働く私たちにとっても他人事ではありません。一方で、ヤフーやファーストリテイリングのように週休3日を検討・導入している企業もあります。そうした状況の中で、副業やパラレルワーク、ベンチャー出向など、メンバーが実際に行動することで多様な働き方を模索します。
【田原】あともう1つは何でしょう。
【濱松】最後は自ら発信していくメディアとしての役割です。私はいま33歳(※取材時)で、大企業ではまだ若手に過ぎません。ですが、団体を立ち上げたことでこうして田原さんにもインタビューしていただく機会を得た。こういう機会を利用して、先ほど言ったイノベーションとワークスタイルについてどんどん発信していくつもりです。「大企業の20代や30代でも面白いことができる」という空気をつくっていきます。その声を集めて、One JAPANとして白書やアワードをつくることも考えています。
【田原】具体的に動き出すのはこれからですね。濱松さんたちの動きを、会社側はどう見てるんだろう。みなさんの交流の中からイノベーションが生まれて、それを社内に取り込めるなら、会社にもメリットがありますよね。
【濱松】田原さんのおっしゃるとおりで、One JAPANならではのアウトプットも重要ですが、やはり会社と連携し、社内の豊富なリソースを使うことが重要なんです。じつは今回、この対談の撮影をするにあたり、カメラマンの方から「参加企業のロゴを使いたいので各社と折衝してほしい」と相談いただきました。いままで大企業に流れる空気感だったら、会社から「有志の会の活動に、会社のロゴなんて出せない」といわれていたと思います。しかし、今回12社からOKをいただいた。それが私たちへの期待を直接示しているわけではないでしょうが、理解されつつあるのかなという気はしています。
大企業40社、250人の若手が2回目イベントに参加
【田原】One JAPANには、いま何人くらい参加しているのですか。
【濱松】9月のキックオフのときは26社、120人が参加しました。会社でいうと、私が勤めるパナソニック、ホンダ、JR東日本など、さまざまです。12月に2回目がありますが、三越伊勢丹や豊田通商、NHKなどからも有志団体が参加して、40社、250人の予定です(※16年11月取材)。
【田原】参加は個人ではなく会社単位?
【濱松】はい。立ち上げ当初は1社3人以上、いまは1社5人以上の団体で組織活性化やイノベーションの活動をしていることが条件です。結局、1人だと会社に戻ったときに活動として広がりにくいんですよね。1人だと変人かもしれないけど、5人いれば変革の志士になれる。熱を大企業の中で伝えてもらうには、少なくとも5人は必要かと。
【田原】企業にも参加条件はあるのですか。
【濱松】大企業病という自覚症状がある企業ですかね(笑)。規模については応相談です。あえて明確な線引きをせず、その団体と会って話を聞いて決めるようにしています。直接熱量を感じたいんです。
【田原】ジャパンだから日本企業?
【濱松】そこはこだわっていません。外資系も2回目からは日本IBM、マッキャンエリクソンといった会社も参加します。日本を軸にしながらも、世界へ広げていくというような形を取りたいです。
【田原】お金はどうなっているのですか。人が集まるのならお金がかかりますよね?
【濱松】参加者から実費として参加費用をいただきます。そこから会場代やHP・Tシャツ作成などにあてます。参加者は日本各地からやってきますが、交通費はもちろん自己負担でお願いしています。