裁判長が被告人に語る「説諭」に学べること
長年、裁判傍聴をしていると、「嫌がられない“攻めの小言術”」というものがあることに気づく。裁判長が判決の宣告をした後に被告人に語る、言葉。その中には、ビジネスマンが日頃の仕事に生かせる教訓があると思うのだ。
さて、説教はされるほうもツラいが、するほうもラクではない。
もし、部下に説教するのが楽しくてしょうがないとしたら、あなたの態度は自分に酔っているとしか思われず、好感度が最悪なのはもちろん、誰も真剣に聞こうとしなくなるだろう。上から目線の小言を聞かされても得るものはないからだ。
部下と上司の関係は円満な方がいいし、社内の雰囲気は明るい方がいいに決まっている。それでも上司として黙っているわけにはいかないケースはある。大きな問題が発生したときに担当者を叱る、というようなわかりやすい例ばかりではないだろう。
・素行や口のきき方が同僚に悪い影響を与えている
・明らかに調子に乗っている
・全体の雰囲気がダレている
……といった、見逃すと将来大きなトラブルの種になりそうなことを未然に防ぐ意味合いもある。
管理職限定の話ではなく、後輩社員との接し方でも同じことだ。後輩が先輩という立場になったとき、あなたのことを嫌な先輩だったと思うか、うるさいのには理由があったと理解してくれるか、それは、いまのあなたの態度が決定する。
部下のため? 会社のため? いやいや、いい人ぶってもしょうがない。あくまでも自分のため、家族のためだ。派手な立ち回りでトラブルを解決するより、日頃からトラブルが起きないよう工夫するほうがずっと賢いビジネスマンだろう。
そのためにも、細かい指摘をしても嫌がられない“攻めの小言術”をマスターしておきたい。
部下の性格もそれぞれだし社風も違うから、たしなめ方や叱り方の途中経過については触れない。ポイントは締めの言葉。部下をふてくされたり萎縮させすぎたりしない説教の終わらせ方だ。