裁判はドラマである。被告人、検察官、弁護士、裁判長……彼らの言動や立ち居振る舞いに、人生と人間の本質がにじみ出る。長年、裁判傍聴をフィールドワークとし、『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』『裁判長!これで執行猶予は甘くないすか』などを上梓している北尾トロ氏がお届けする、明日ビジネスに使える裁判スキルコラム!

優秀な弁護士チームに学ぶ、理想の上司と部下

大きな事件になると、検察官も弁護人もチームを組んで裁判に臨む。検察官が用意する証拠書類は膨大になり、それを読み込みんで検討する弁護人の作業も、ひとりでは手に余る量になるからだ。また、罪状が複数あったり、複雑な内容を含んだりする場合には、手分けして対応する必要も出てくる。

組織に属している検察官はまだしも、個人事業主である弁護人が被告人に有利な判決を勝ち取るためには鉄壁のチームワークが欠かせない。

いい弁護人チームとは何なのか。もっとも多い2人組を例に考えてみると、パターンはふたつある。

(1)分担型:互角のキャリアを持つプロ同士がタッグを組む
(2)サポート型:ベテランと若手弁護士の師弟コンビ

(1)は、被告人の容疑が複数に渡る場合や、重大事件で証人の数が多いケースなどで見受けられる。便宜上、どちからが主任弁護人を名乗って前面に立つが、弁護の進め方は、互いの担当箇所をバランス良く分けて最大の成果を目指すスタイル。どちらが質問や尋問をしても遜色ないので、傍聴席から見ていても安定感があるのが特徴。

(2)は、ベテラン主任弁護人がメイン。若手は派手な見せ場もなく、一見すると助手のように感じられなくもない。ただし、ずっとそうなのではなく証人尋問を一部担当したり、どこかで存在感を示す機会が与えられたりすることが多い。とはいえ、裁判の結果を左右するような局面ではベテランが孤軍奮闘するのであくまでもサブの立場だ。

(1)(2)をもう少しわかりやすく説明しよう。

(1)の場合、いい結果を出すコンビは、主任弁護人がキャリアも弁護のレベルもわかった上で相棒を選び、互いに相手を尊重できる関係を形成すると想像できる。だいたいは弁論が得意なアタッカー役と実務型の守備役のコンビ。なお、自分よりはるかに格上を相棒にするとは考えにくいので、主任弁護人のレベルがチームの基準となる。

僕が注目したいのは(2)サポート型の師弟コンビで、全体としてはこちらの組み合わせが主流。チームとしての弁護活動を見ていると、彼らの関係性は上司と部下にも置き換え可能だと思えてくる。