弁護人チーム ダメな師弟、デキる師弟の特徴3

(2)におけるいいチームとは何かを考える前に、ダメなパターンをいくつか紹介しよう。チームリーダーである主任弁護人の力量不足は論外として、チームとして機能していないことはよくある。

●単純な打合せ不足。
●信頼関係が薄い。
●若手にやる気がない。

このいずれか、あるいはそれらが少しずつ重なって、傍目からは主任弁護人がひとりで戦っている印象を受けるのだ。

若手がなにもしないわけではなく、証人尋問などもするのだが、頼まれ仕事を淡々とこなすふうにしか見えず、裁判に与えるインパクトは皆無。主任弁護人も若手に期待していないのか、書類作りやコピー取りといった事務仕事だけ間違えずにやってくれたらいいと思っているのがミエミエ。若手が女性のときは、証人が女性のときに出番を与えられたりするけれど、少しもたつくと主任がイラついたりして、アシスタント扱いの感は否めない。

こうなると主任弁護人の実力がすべてということになるが、若手弁護人を活かしきれないリーダーでは……。判決に直接の影響を及ぼすかどうかは別として、自分が被告人で、実刑になるか執行猶予付判決になるか微妙な裁判だったら、あまり歓迎できないチームではないだろうか。

では、できるチームとは? 主任弁護人が実力を備えているのを前提とすれば、大事な要素は3点だ。

●若手に登用をチャンスと捉える意識があり、主任弁護人に若手に経験を積ませたいとの配慮がある。
●若手が一手先を読み、裁判で使える資料作りをしている。
●被告人質問や最終弁論の練習をしている。

一言でまとめれば、ヤル気に満ち、検察との対決に勝つべく作戦を練り、武器を活かすための稽古を怠らない、ということだ。

僕は、被告人が無罪を主張する殺人事件の裁判員裁判の傍聴で、師弟関係にあるあっぱれな2人の弁護人チームを見たことがある。彼らは検察が用意した証拠をつぎつぎに叩き潰し、長時間に及ぶ最終弁論で裁判員たちの心を鷲掴みにして無罪を勝ち取ったのだ。

後日取材すると、体力のある若手が精力的に資料を作り、ベテランがそれを吟味する方法で証拠のスキを見つけていく手法が取られていた。また、最終弁論を資料に頼らずに行えるようリハーサルを重ねた結果だとわかった。