秘書の本質とは、上司が働きやすい環境をつくること。「言われる前に動く」「細かく説明されなくても意を汲み取る」……、求められる素養は、すべてのビジネスパーソンに通じるものです。
壱番屋創業者秘書をはじめ、30年以上に渡りその道を究め、日本秘書協会の「ベストセクレタリー」にも選ばれた中村由美さん。著書『日本一のプロ秘書はなぜ「この気遣い」を大事にするのか』からの抜粋を、ちょい読み版としてご紹介します。誰からも求められる気遣いと仕事術を、プロフェッショナルより学びましょう!

「どうしても無理!」な上司、さてどうする?

秘書という職は、特別な仕事ではありません。なぜなら、「秘書」という名前がついていないだけで、上司のサポートをしている人はたくさんいるからです。しかし、秘書は、第三者から秘書としての「適性がある」と見込まれないと、就けない職でもあります。その適性のひとつとして挙げられるのが、「どんな上司にも仕えられる」という点です。

どんな上司も本心では「気遣い上手な部下がほしい」と思っているはず。しかしその上司が“難物”な場合もあり……

秘書は、自分が仕える上司を選ぶことができません。これは、誰でも上司を選べないのと同じことです。とはいえ、人間であれば、「どうしても合わない」と感じる人がいるものです。たとえば、自分より立場が下の人間に対しては居丈高な態度をとったり、命令口調で話したり、気分次第で叱りつけたり。こちらが良かれと思ってしたことも、少しでも自分の意に沿わないと「余計なことをするな」と機嫌を悪くしたり……。これは、誰にとっても付き合いづらい人だと言えるでしょう。そうでなくても、「神経質すぎる」「大雑把すぎる」「マイペースすぎる」など、自分の性格とあまりにかけ離れていると、仕事を進めるうえでの気苦労も多く、付き合いづらいと感じるものです。